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 栃木県のリーダーを決める知事選が29日告示されます。未曽有のコロナ禍もあり、県内でも改めて様々な課題が浮き彫りになってきました。数字をキーワードに現場を訪ね、課題の背景を読み解きながら考えていきます。

 日光明峰高(日光市)の全校生徒は133人。定員240人の5割強しか埋まっていない。

 今春、北海道や兵庫県などから12人が入学した。県外出身者は全校で18人。全国レベルのアイスホッケー部に憧れて越境する生徒が多い。

 日光明峰は県内に4校ある特例校の一つ。県教委は生徒不足で適正規模(1学年4~8学級)を満たしていない県立高校を、再編(統廃合)の対象としている。適正規模未満でも維持を認めたのが特例校だ。

 県内の中山間地の人口減少は都市部をはるかに上回る。「少子化もすごい」と熊田孝幸教頭。

 特例校といっても、あくまで暫定だ。2年連続で入学者が2学級(80人)の3分の2に満たない場合、統合検討の対象となる。今春の日光明峰の入学者は56人。最低ラインの54人をかろうじて上回った。熊田教頭は「一定の猶予をもらえたと思う」。

 生徒募集は通常、学校や県教委の役割だが、特例校の場合、地元の高校存続のため、地域にも主体的な協力を求めている。県教委は「地域ぐるみで知恵を集め、学校の魅力を高めて生徒を集めてほしい」と呼びかける。地域プロジェクトといってもよい。

 日光明峰に寮はない。県外生徒は学校が紹介する地元有志の「下宿」や市営住宅で生活する。2019年春には最大28人収容の下宿所を住民が整備した。

 来年には2カ所目の下宿所(定員約15人)も誕生する予定だ。市内のレストラン「丁田屋」が中古ペンションを買い取り、改装して下宿所に使う。

 小平憲彦社長(43)は日光高(現日光明峰)OBで栃木日光アイスバックスで活躍した選手だ。「高校時代は1学年120人。アイスホッケー部は30、40人いた。アイスホッケーをやるには北海道にも負けない環境がある。地元の財産を守るため力になりたい」

 アイスホッケー部はアイスバックスのプロ選手から指導も受けている。

 特例校の黒羽高(大田原市)には今春、JR黒磯駅からの直通市営バス路線が開通した。地元住民が参加する学校運営協議会での強い要望などで実現した。馬頭高(那珂川町)では、地域行事への参加や地域文化の学習を通じて生徒が地域おこしのアイデアを発表する「那珂川学」を授業に採り入れている。

 県教委の担当者は「地元住民が学校のために何ができるか考えて学校づくりに参加してくれている。学校と県教委、地域住民が一丸となって魅力ある学校づくりをしていくことが求められている」と説明した。

 今春、県内の小中高校に通う児童生徒は19万9007人。2004年の24万4097人から約4万5千人減少した。県教委によると、10年後の高校進学者は現在より約2千人減少する見通しという。2千人減ると、全県立高校で学級数が一つ減る計算になる。

 県立高校の統廃合を進める県教委は15年、7学区に分かれていた学区制を、県内のどこからでも受験できる全県学区に変更した。県教委は「一丸となって学校の魅力を高めた結果、生徒が集まってくるのが理想だ」としている。(平賀拓史)

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