拡大する写真・図版主に海外向けのキャリーケースを手がけてきたメーカーも、国内向けの生産にシフトした=2020年10月22日、中国広東省東莞、西山明宏撮影

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 1978年に始まった中国の改革開放政策が、コロナ禍と米中対立という二つの重圧の下で大きな曲がり角を迎えようとしている。

 中国広東省東莞(トンコワン)市には、大小14万の製造業の会社が集まる。改革開放の先頭に立ち、「世界の工場」としての中国の発展を支えてきた街の一つだ。

 22日、郊外の工業地域に本社を置く旅行用キャリーケースメーカー「莎米特箱包有限公司」の工場には止まったままの大型機械が並び、注文を受けながら出荷できずにいる海外向けの商品がフロアの片隅に集められていた。

「もはや『世界の工場』ではいられない」

 しかし、そのすぐ脇では、多くの小型キャリーケースがベルトコンベヤーの上を流れ、マスクをした社員が素早い手つきで不良品がないか確認していた。

 キャリーケースに刻まれているのは自社ブランド「サミット」のロゴ。営業担当の陳斌さん(36)は「いま製造しているのは、すべて国内向けの商品です」と話した。

 莎米特は2001年に創業し、サムソナイトなど海外の有名ブランドに代わって商品をつくる「代工」と呼ばれるビジネスを手がけてきた。

 安い人件費を生かして注文を受け、デザインや素材にこだわる高級ブランドの厳しい要求に応える。出荷先は欧米や中東、日本など75カ国以上。会社は順調に業績を伸ばしていた。

拡大する写真・図版広東省東莞(トンコワン)市

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で1月以降、注文は例年の4割に落ち込んだ。リストラも迫られ、一時1500人いた社員は400人に減った。

 新型コロナの蔓延(まんえん)で外需が細るなか、活路を求めるのが、これまで重視してこなかった国内市場だ。その規模は創業時の約10倍に膨らんでいる。

 莎米特は国内で知名度の低い自社ブランドを売り込むためネット販売に力を入れ、品ぞろえも中国の消費者の好みに合わせて小さめのキャリーケースに切り替えた。コロナ禍で旅行がしにくい状況が続けばキャリーケースだけでは厳しいと、工具箱や化粧ポーチ、保温バッグなど商品のラインナップも増やす計画だ。

 陳さんは「もはや『世界の工場』ではいられなくなった。自分たちでブランドを確立して国内で売る。生き残るにはそれしか道はない」と話す。

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