拡大する写真・図版アナザーノート 対立の構図を超えて

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アナザーノート 浜田陽太郎編集委員

 こんにちは。「Go To トラベル」も始まったし、リアルに人と会う機会が徐々に増えてきましたね。一方、定例で開かれる仕事の会議をオンラインで済ますことは、かなり「恒久化」されています。

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 でも、「サザエさん」の波平さんと同じ54歳の私は、初対面の人を取材したり、同僚とまっさら白紙の状態からアイデアを出し合って議論したりするなら、リアルに会った方がいいなと思います。相手のちょっとした表情やしぐさ、声のトーンも刺激になり、より良いアイデアが出る気がします。

 お医者さんの診療も似ているようです。五感をフルに働かせて目の前の患者さんからできる限りの情報を得る。リアルな検査も組み合わせて「こういう病気であろう」と診断をし、より良い治療や薬の処方をする……。

初診もオンライン診療で大丈夫か

 今年4月、新型コロナウイルスの流行で病院に通院できない患者もいることから、オンラインや電話での受診が特例として病気や症状を問わず、誰でも初診から受けられるようになりました。それまでは、離島やへき地、禁煙外来などの例外はあれど、「初診は対面が原則」でした。

 そして9月、菅義偉首相が「オンライン診療の恒久化」を指示。その流れの中で10月8日、田村憲久厚生労働相が平井卓也デジタル改革相、河野太郎行政改革相とリアルに会談。「オンラインでの初診を原則解禁することで合意」しました。

 政治の世界で、大臣が3人集まって合意するのは「この話は決着」というサインです。だけど「恒久化」とか「初診の原則解禁」って、いったい何なんでしょうね。

 この問題を知るため、まずお会いしたのは認定NPO法人「COML」の理事長、山口育子さんです。「患者と医療者が対立するのではなく、“協働”する」ことを目的に掲げ、患者からの電話相談を活動の柱とする団体のリーダーである山口さんは、自身も30年間で約2万件の相談に応じてきました。

拡大する写真・図版ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の理事長、山口育子さん。患者からの電話相談や医療機関の評価などの活動に取り組み、政府の審議会などで発信を続ける

 山口さんは厚労省でオンライン診療を検討する会議のメンバーです。4月2日に開かれた会議では、どのような場合にオンライン初診が認められるかを議論し、「過去に受診履歴がない」、つまり一度も会ったことのない患者をいきなりオンラインで診療するのは危険なので反対という意見が大勢という認識でした。

 ところがその直後に、政府の規制改革推進会議は、面識のない初診患者のオンライン診療を認めるよう強く求め、政府も特例で規制緩和を決めました。

 「面識がない患者でも相談を受けたり、リアルな受診を勧めたりするぐらいオンラインでもできるだろう。しかし、診療となれば、病気を診断して薬を処方する。責任ある医師なら、怖くてできないはず。患者としても、オンライン診療のみで判断されるのは不安」と考える山口さんは、この「ゴリ押し」に怒っていました。ただ、私が気になったのは、その怒りを増幅していたのが「一部メディア」の報道だったことです。

 大手経済紙は、検討会の意見に…

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