[PR]

 広島市西区の横川地区を拠点とする女子サッカーチーム「アンジュヴィオレ広島」が解散の危機に直面している。スポンサー収入の減少が見込まれ、来季の運営費の見通しがたたないためだ。「地域の誇り」を残そうと、地元関係者やサポーターらが懸命の支援を続ける。

 アンジュヴィオレ広島は、JR横川駅周辺の住民らでつくるNPO法人「広島横川スポーツ・カルチャークラブ」が運営母体となり、2012年に誕生した。今季は女子サッカー「なでしこリーグ」のチャレンジリーグ(3部相当)で戦う。U―18(高校生年代)、U―15(中学生年代)、サッカースクール(小学生年代)の下部組織がある。

 下部組織の人件費なども含め、年間約7500万円の運営費が必要で、スポンサー収入や入場料収入などで賄っている。

 特定の企業を母体に持たず、毎年資金繰りに苦労する中、今年は新型コロナウイルスの影響による不況が追い打ちをかけた。運営法人は9月4日、臨時総会を開き、10月末までに資金や支援企業のめどが立たない場合は今季で解散することを決めた。チーム関係者はスポンサー回りに奔走するが、状況は厳しい。

 女子サッカーは来年、大きな転換期を迎える。日本初の女子プロ「WE(ウィー)リーグ」が発足し、広島からはサンフレッチェ広島が参入する。「なでしこリーグ」はアマチュアとして残る。アンジュは「なでしこ」に参加する資格があるが、遠征や試合の増加が見込まれ、更なる経費負担がのしかかる可能性がある。

 県サッカー協会によると、県内の女子チームの登録は今年度36あり、女子選手(小学生以上)は1130人。アンジュは下部組織を入れて約100人を抱える。トップ選手の大半がスーパーや法律事務所などで働きながら、勤務後や休日に練習を続ける。

 広報の宮地弘充さん(43)は、女子選手がプレーする環境を残す意義を強調する。「プロでなくてもサッカーを続けたい人は多く、選手生命は短い。セカンドキャリアも考えながらプレーする選手の受け皿になりたい」

     ◇

 チームの苦境を受けて、地元の有志らが「応援プロジェクト」を立ち上げた。

 創設前を含めて約10年の歩みを挿絵入りでホームページ(http://angeviolet.com/別ウインドウで開きます)で紹介。試合会場の設営からグッズ販売までボランティアが担ったこと、専用のグラウンドがなくても選手たちは必死にボールを追ったこと――。発起人の岡田高旺(たかお)さん(61)は「地域で一生懸命支えてきたことを知ってほしい。存続を信じてやるしかない」。

 9月末、JR横川駅前で選手の撮影会や応援寄せ書きのイベントが開かれた。「たる募金」も実施し、約18万円が集まった。今月26、30、31日にも夕方中心に駅周辺で「第2弾」を開く。11月1日に県総合グランド(広島市西区)で開かれる今季ホーム最終戦に向けて、支援金500円を含むチケットやTシャツを販売し、寄付も募る予定だ。

 地元の町内会長、沖田晴信さん(66)は、下部組織の練習でボール拾いを手伝うなど裏方としてチームを後押ししてきた。「僕自身が彼女たちから力をもらってきた。最後の最後まで、希望は捨てていない」

 チームは好調だ。24日現在、5勝2分けで首位をキープ。主将の本藤理佐さん(27)は「存続危機の話はするけど、今できることは結果を残すこと」と前を向く。サポーターや地元住民のためにも「暗い雰囲気のままではダメ。応援したいと思えるチームになろう」とメンバーを鼓舞する。これからも、広島でサッカーを続けたいと強く願う。(三宅梨紗子、北村浩貴)

関連ニュース