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自衛官出身で初の大使としてアフリカのジブチに赴任する 大塚海夫さん(60)

 アフリカ東部ジブチの大使になった大塚海夫さん(60)には二つの「初」がある。自衛官出身の大使は史上初で、別の国の大使になった妻とそろって皇居での認証式に臨んだのも前例がない。長年携わってきた自衛隊のインテリジェンスという「裏舞台」から、日本の顔として外交の世界でデビューする思いとは――。

 9月16日、パラグアイ大使になる妻で外交官の中谷好江(なかたによしえ)氏と天皇陛下の前に並んだ。外務省の記録にある限り、夫婦同時に大使の認証式に臨んだのは初めてだ。

 昨年12月、36年間着ていた海上自衛官の制服を脱いだ。大手商社員として新生活を始めた矢先、大使を打診された。

 「妻の任命の件だと思った。まさか自衛官が大使になるとは」

 貿易商の父が「海外で活躍して欲しい」と、海夫と名付けた。各国の情報機関に幅広い人脈を持つ。愛称は「Man of the sea(海の男)」。小学生から英語と仏語を学んだ。退官までの約2年間は日本最大の情報機関を率いる防衛省情報本部長として、北朝鮮のミサイル問題などに対処した。

 アフリカ東部ジブチは自衛隊唯一の海外拠点がある戦略の要所。「海賊対処や情報収集の任務を理解している大使」(河野太郎・前防衛相)として起用された。

 練習艦が寄港したパナマで大使館員だった妻と出会った。航海に出ることが多く、海外を飛び回る妻とすれ違いの生活。子どもの送り迎えなどの家事を分担した。

 「これまで無理をさせた償いとして、退官後は中谷大使の公用車の運転手をするつもりでした」

 安全保障とインテリジェンス(情報収集・分析)の最前線に身を捧げることを「天命」と思っている。文・峯村健司 写真・長島一浩