拡大する写真・図版政活費不正で「辞職ドミノ」が起きた富山市議会を題材にしたドキュメンタリー映画「はりぼて」を作った砂沢智史さん=2020年9月、富山市、小林太一撮影

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富山市議会の政活費不正問題を映画化した 砂沢智史さん(41)

 追及された市議たちはごまかし、知らないふりをして逃げた。

 「人間は弱い。それでも、議会に変わってほしい。映画を作った理由はそれに尽きます」

 4年前、富山市議会で政務活動費の不正取得が相次いで発覚した。辞職した市議は7カ月で14人。地元テレビ局で発端のスクープを放ち、報道から社長室に異動後も取材を続け、ドキュメンタリー映画「はりぼて」を作った。

 公務員をめざしたが就職氷河期でかなわず、故郷のチューリップテレビに入社。営業などをへて5年前に記者になった。翌年、重鎮市議が架空の市政報告会を名目に政活費を請求しているという端緒をつかんだ。情報公開制度で集めた約9千枚の伝票を同僚とめくり、真実を突き止めた。

 他の新聞やテレビも別の市議の疑惑を次々と報じた。議会は「全国一厳しい」とされる政活費の条例を作ったが、その後、新たに不正がわかった市議は開き直った。映画の題名に込めたのは市議の甘えやおごりだけではない。「市民も私を含めたメディアも、緊張感のない議会を許したままです」

 取材班の半数は報道の現場を離れ、共同監督を務めた同期はドキュメンタリー制作を求めて他県のテレビ局へ移った。8月公開の映画は今月末、富山でも上映が始まる。「残された作品から、ここで暮らす人たちが現実に気づかなければ」(文・写真 小林太一)