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 あらゆる核兵器の開発や実験、生産、保有、使用を許さず、核で威嚇することも禁じる「核兵器禁止条約」の批准国・地域が24日、発効条件の50に達した。90日後にあたる来年1月22日に発効する。

 国連加盟国の6割にあたる122カ国・地域の賛成で、2017年7月に採択された。

 核軍縮の交渉義務を課す代わりに米ロ英仏中の5カ国だけに核保有を認めている核不拡散条約(NPT)とは発想が異なり、核兵器そのものを不法と見なす。

 前文で被爆者や核実験の被害者の苦痛に触れ、核兵器の非人道性を強く訴えているのが特徴だ。「核兵器の法的拘束力を持った禁止」に向けて行動すると明記している。

 核兵器廃棄の検証など核廃絶を進める具体的な方法は、発効から1年以内に国連事務総長が招集する締約国会議で決めるとしている。

 条約が生まれた背景には、2010年以降、核兵器を国家の安全保障の立場からではなく、被害を受ける人間の視点から見つめ直す「人道的アプローチ」の流れが非核保有国の間で急速に広がったことがある。核保有国がNPTで誠実に核軍縮交渉をする義務を課されながら、核軍縮を停滞させていることへのいらだちも後押しした。

 核保有国の米英仏は署名の意思がないと明言しており、米国が提供する「核の傘」に安全保障を依存している日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)も署名していない。条約に署名・批准しない国に対する法的拘束力はないが、専門家は「『核兵器は非人道的であり、絶対的な悪』という規範が生まれたことで、核兵器がより使いにくい兵器になる」と指摘する。

 国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が各国政府に交渉開始を呼びかけるなど、市民社会が条約の締結を牽引(けんいん)したことも特徴。ICANは2017年にノーベル平和賞を受賞した。

 安倍晋三首相(当時)は今年8月9日の長崎平和祈念式典後の記者会見で、条約について「核兵器廃絶というゴールは共有している」と言及しつつ、「安全保障の現実を踏まえずに作成された」と批判。「我が国の考え方とアプローチを異にする」と強調し、改めて署名や批准をしない姿勢を示した。

 締約国会議には、批准していない国でもオブザーバーとして参加できるとされる。(武田肇)