親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の創設者、蓮田太二(はすだ・たいじ)さんが25日、死去した。84歳だった。

 「赤ちゃんの命を守る」。揺るぎのない、その信念を貫き通した人だった。

 理事長を務める慈恵病院(熊本市)で、親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」を始める計画が明らかになったのは2006年11月。地方都市にある、ベッド数98床の中規模病院による日本初の取り組みは大きな論議を呼んだ。

 当初、「安易な預け入れにつながる」などと反対も多かった。時の安倍晋三首相も「親として責任を持って産むことが大切ではないか。大変抵抗を感じる」などと発言。「爆破してやる」などといった脅迫まがいの電話もかかってきた。それでも「ゆりかごは命を救う最後の手段」と、ぶれなかった。

 トイレでの産み落としなど遺棄されて亡くなる赤ちゃんは後を絶たない。厚労省の検証によると、03年からの15年間で虐待死した子どもの半数はゼロ歳児で、その数は373人。そのうち4割は生まれてまもなくその日のうちに命を落としており、うち85%が遺棄されていた。

 そうした現状に胸を痛め、ドイツの取り組みを視察したのをきっかけにつくったのが「ゆりかご」だった。「捨てられた赤ちゃんを黙って見過ごすのは、虐待で亡くなる子どもをそのまま見ているのと同じだ」と。後に「周囲が100%反対でもやる気持ちだった」と吐露している。

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 妊娠相談も大切にした。「ゆりかごはできるだけ利用されない方がいい。預けるのではなく、相談してほしい」とも訴えた。「『ゆりかご』の本質は事前相談」と言い、24時間365日の電話相談を全国に先駆けて始めた。全国から寄せられる電話相談は最近は年間6千~7千件にのぼった。育てられない場合は、赤ちゃんに養親を探した。

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