聞き手・松本麻美
拡大するJリーグの村井満チェアマン(右)とBリーグの島田慎二チェアマン
新型コロナウイルスの影響で、スポーツ界は過去に例のない苦境に立たされている。満員の会場での熱狂こそがスポーツの醍醐(だいご)味だが、観客数の制限などがあり、以前のような環境が取り戻せるめどは立っていない。Jリーグ5代目チェアマンの村井満氏(61)とBリーグ3代目チェアマンの島田慎二氏(49)がスポーツの未来を語り合った。
――2016年に開幕したBリーグにとって、1993年開幕のJリーグは一つの指標でした。JもBもともに初代チェアマンは川淵三郎さん(83)。地域密着の理念やクラブライセンス制度など、共通するものも多いです。村井満さんと島田慎二さんは、互いの存在をどう意識しているのでしょうか。知り合ったきっかけは、村井さんがBリーグで入場者数1位を誇る千葉の試合を観戦したことだったそうですね。
村井満 「3年ほど前でした。千葉の試合を見た後に、ちょっと飲みに行こうよって。その後も何度か2人で行っています。いつも何かを聞きたいという目的があるわけではなく、率直な意見交換をしています。両方の事務局に共通の知り合いも多く、精神的にものすごく身近な存在です」
島田慎二 「出会った当時はまだ、千葉で社長をしていました」
村井 「この若さで切り盛りしているのが頼もしい。思考の深さやバスケットに対する情熱は相当なものです。千葉では2012年に社長に就任して、当時2億円だった売上高を18―19年には17億6千万までクラブを大きくした実績もありますから」
島田 「村井さんこそ、スポーツ界で実績を残されている大先輩です。ナンバーワンの経営者だと思っています。このコロナ禍で何かを決めたり共通認識をつくったりする時に、『村井さんが言うんだったら』と言わしめる状況がすでに出来上がっています。それが何よりすごいことだと思います」
村井 「ちょっと盛りすぎじゃないか?(笑)」
島田 「本当に思っています。リーグのトップとしての師匠です。僕は25歳で起業して、自分で切り開いて失敗しながら学んできた。個人の会社ならそれで良いんですが、リーグのトップとしては変な失敗はできない。今までと全く違う責任があるので、よく相談させてもらっています。すごく貴重な存在です」
拡大するJリーグの村井満チェアマン
――島田さんはもともと旅行業界の出身で、村井さんもリクルートで長く人事を担当されてきました。異業種からスポーツ界に入り、とまどったり苦労したりしたことはありましたか。
村井 「大変だったでしょ、とよく言われるんですが、実は人事の仕事とスポーツ界の仕事って同じ領域にあると思っています。生身の人間が毎試合、再現されることのないドラマを繰り返していく様は、私が体験してきた人事の仕事にすごく近いんです」
「たとえば、工場の生産だった…
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