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 乳がんを経験し、術後の傷痕などが気になる女性たちに大きな湯船を楽しんでもらおうと、兵庫県尼崎市の銭湯で30日、女性限定のイベント「乙女温泉」が開かれる。自らも乳がんになった女性が銭湯を経営する女性と意気投合。「気兼ねなく入ってほしい」と企画した。10月は「乳がん月間」。

 尼崎市の主婦、渡辺愛さん(48)は2年余り前に乳がんのため左乳房を全摘出した。大きなお風呂でゆったりつかるのが好きだったが、人目が気になり、温泉や銭湯に行けるようになるまで数カ月かかった。

 体調と気持ちが落ち着くと、告知を受けた時の不安や術後に感じた思いなど、自身の経験を多くの人と共有したいと思うようになった。今年6月に有志の団体「Reborn.R(リボンアール)」を設立し、乳がん経験者に募った体験談をSNSで公開している。

 「傷痕を見た人が怖がらないか」「治療の影響の脱毛が気になる」。乳がんを経験した女性たちには、温浴施設の利用を戸惑う声が目立った。知人を通じて知り合った稲(いな)里美さん(60)に伝えると、思いがけない答えが返ってきた。「うちで練習したらえーやん」

 稲さんは尼崎市道意町2丁目の銭湯「蓬萊(ほうらい)湯」の経営者で、自身も今年、のどに腫瘍(しゅよう)ができて治療した経験があった。「病気で悩む人が一歩前に進むため、背中を押すことを手伝えるなら、うれしい」と話す。

 30日のイベント「乙女温泉」は午後6時から午後10時まで。女湯を「ファースト銭湯」として、乳がんなどで、多くの人と一緒に入ることをためらう女性たちに利用してもらう。男湯もこの日に限り「乙女の湯」として、病気の有無を問わず女性だけに開放する。「窓があって女湯よりも開放感がある」と稲さん。

 入浴着を持参しての利用も可能。看護師による乳がんセルフチェック講座(同7時半)、乳がん経験者の話(同8時半)などのコーナーもある。

 渡辺さんは「自分が乳がんになることも、家族、友人がなることもある。だれにとってもひとごとではないはず。経験者はもちろん、多くの方に参加してほしい」と話している。

 入湯料を含めた参加費は大人500円、小学生150円、未就学児50円。小学2年生までなら男児も入浴できる。予約が必要で、29日までに蓬萊湯(06・6411・0567)へ。(松尾由紀)