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 埼玉県川口市立中学校の元生徒(18)が市(市教育委員会)に自分のいじめに関する情報公開などを求めた訴訟で、市教委は26日、控訴しない方針を明らかにした。さいたま地裁の14日の判決は市側の手続きの一部が違法だとして賠償を命じており市教委の「敗訴」だが、「おおむね主張が認められた」との認識を示した。

 訴訟で元生徒側は①一部しか開示されていない2018年1月の開示決定の取り消し②一度は公開文書の訂正を認めた決定を取り消した同年9月の決定の取り消し③100万円の損害賠償、を求めていた。市教委側は①と②は訴えを受けて訴訟中に取り消していた。

 判決では③だけが判断され、開示できる情報とできない情報の特定がされていないことや、訂正を認めた決定を取り消した際に元生徒側の弁明の機会を与えなかったことが違法だったなどとして、2万円の支払いを命じた。元生徒側の請求はほとんど認められた形になり、事実上の勝訴と受け止めていた。

 しかし、26日の記者懇談会で奥ノ木信夫市長は「違法と指摘された点以外はおおむね主張は認められた」と述べ、茂呂修平教育長は「(問題の)早期解決のため控訴は積極的に考えていない」とした。二つの決定を訴訟中に翻した点については「相手の求めに応じた」とだけ話した。

 判決では、開示請求されたのはいじめの重大事態にかかわる情報で、開示決定が適法にされなかったことで精神的損害を被ったとも認定した。判決が確定することで元生徒側に謝罪するかどうか問われた茂呂教育長は「できる限りの対応をしてきた。これ以上の対応は考えていない」とした。

 元生徒の母親の森田志歩さんは「違法や義務違反、精神的損害も認められているのに、市教委側が『おおむね主張が認められた』と判断するとは信じられない」と驚いている。

 市教委側はこれまで、市議会で「係争中」としてこの問題の質問には答弁してこなかった。判決が確定することで、元生徒側の訂正要求を添付するだけで終えた文書の訂正方法などが論議になりそうだ。(堤恭太)

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