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 新型コロナウイルスの集団感染が相次いで判明した新宿・歌舞伎町。「夜の街」が国や都から名指しで批判されるなか、どの店も生き残りをかけた営業努力を続けている。

拡大する写真・図版10月下旬の新宿・歌舞伎町。再開した飲食店が増え、緊急事態宣言以降、閑散としていた目抜き通りに少しずつ人の往来が戻ってきた=2020年10月22日、藤原伸雄撮影

拡大する写真・図版新型コロナウイルスから回復した、新人ホストの綾翔(あやと)さん。「まさか自分がなると思わなかった。だけど隠すつもりはない。自分に正直に生きて、挽回(ばんかい)しようと思います」=2020年10月22日、東京・歌舞伎町、藤原伸雄撮影

 ホストクラブ「APiTS(アピッツ)」。10月上旬、営業前の店内では、若手ホストらがフロアの感染対策に追われていた。入り口には靴底を殺菌するマットや手指の消毒液、非接触型の体温計も置いてある。

拡大する写真・図版少しずつ客足が戻ってきた10月、若手ホストらが開店前、新宿区保健所のガイドラインに沿って、乾杯を盛り上げるためのコールを練習していた=2020年10月8日、東京・歌舞伎町、藤原伸雄撮影

 「素顔で接客したことはないです」。今年3月に入店したばかりの新人ホスト、綾翔(あやと)さん(21)がマスク姿でほほえんだ。

 大学受験に2度失敗し、夢を追って業界に身を投じた。「キラキラした新宿という街に憧れた」。しかし入店直後、緊急事態宣言などで約2カ月間、店は休業。6月中旬に再開したものの、その約1カ月後の朝、38度の高熱と倦怠(けんたい)感に襲われた。「吐き気で起き上がることができなかった」。すぐに受けたPCR検査の結果は、新型コロナウイルス陽性。店の感染対策は徹底していたので、営業後に立ち寄った飲食店が原因かもしれないという。3週間、店を休んだ。

拡大する写真・図版普段の通勤路で取材に応じる綾翔さん=2020年10月22日、東京・歌舞伎町、藤原伸雄撮影

 「自分がかかると思わなかった。申し訳ない」。失意と反省の日々に、同僚や先輩から次々にメッセージが届く。「店のことは気にするな」「今は自分のことだけ考えろ」。励ましの言葉に、救われる思いだった。

拡大する写真・図版7月中旬、綾翔さんは新型コロナウイルスに感染し、店を3週間休んだ。先輩や同僚らから送られたメッセージに支えられた=東京・歌舞伎町、藤原伸雄撮影

 綾翔さんは、コロナに感染したことを隠すつもりはない。「なってしまったことはしょうがない。店のみんなは支えてくれた。正直に生きて、自分を信じて、挽回(ばんかい)します」

拡大する写真・図版営業前、店内のソファやテーブルなどを消毒する綾翔さん=2020年10月8日、東京・歌舞伎町、藤原伸雄撮影

 同店を運営するSmappa!GroupマネジャーのMUSASHIさん(34)は、新宿区と定期的に会議を重ね、同町の200店以上あるホストクラブの連絡係をつとめる。

「世間からの夜の街の批判はまだまだ消えないが、今できることを精いっぱいやっていくしかない」(写真・文 藤原伸雄)

拡大する写真・図版普段の通勤路で取材に応じる綾翔さん=2020年10月22日、東京・歌舞伎町、藤原伸雄撮影