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 プリンターのインクカートリッジの仕様を変えられリサイクル品販売を違法に妨げられたとして、リサイクル品製造・販売業「エコリカ」(大阪)が27日、大手精密機器メーカー「キヤノン」(東京)に3千万円の損害賠償などを求める訴えを大阪地裁に起こした。

 訴状によると、キヤノンは2017年9月に発売したインクカートリッジでインク残量を表示させるICチップの仕様を変更。インクを再注入してリサイクル品を販売しようとしてもプリンター上で「インクなし」と表示されるようになったため販売できず、仕様の変更は独占禁止法が禁じる「競争者に対する取引妨害」などと訴える。

 インクカートリッジは主に家庭用プリンターに装着するインクを入れた容器。

 インクカートリッジ市場では、純正品を売るメーカー側と、リサイクル業者や純正品を使用しない互換品を製造・販売する業者側が攻防を繰り広げる。

 東京地裁でも昨年12月、東京と大阪の互換品の製造・販売業者が、ブラザー工業(愛知)に仕様を変更され、販売を妨げられたとして仕様変更の差し止めや損害賠償を求めて提訴。ブラザー側は取材に「コメントは控える」とした。

 メーカー側がリサイクル業者を訴えた例としては、キヤノンがエコリカとは別の業者に対し、特許権侵害を理由に販売停止などを求めた訴訟は07年、キヤノンの勝訴が確定。エコリカがセイコーエプソン(長野)から販売差し止めなどを求められた訴訟では「特許権が無効」として同年、エコリカの勝訴が確定した。

 提訴後に会見したエコリカの宗広宗三社長(62)は「純正品と再生品のどちらを使うかというユーザーの選択肢を奪うのはどうなのか。キヤノン以外のメーカーは配慮してくれている。市場競争に参加できるようにしてほしい」と話した。

 キヤノンは取材に対し、仕様変更の理由について「開示できない」とし、訴訟については「訴状が届いていないのでコメントできない。届き次第、精査したい」としている。(米田優人、新屋絵理)