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 ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問が保有する古びた日本刀の修復作業が、岡山県瀬戸内市で進められることになった。26日、同市長船町長船の「備前おさふね刀剣の里」で引き渡しがあり、研ぎ師の横山智庸(とものぶ)さん(48)=赤磐市=が1年をかけて再び息を吹き込む。

 日本刀は刃長69・1センチ。スーチー国家顧問が「さびが出ている」などとして修復を依頼した日本財団(東京)によると、愛媛を拠点とした刀匠で、日本刀初の重要無形文化財保持者(人間国宝)・高橋貞次氏(1902~68)が鍛造したものという。

 茎(なかご)の刻銘や日本財団の調査では、第2次世界大戦中の1942年、ビルマ(現ミャンマー)方面担当に就任する飯田祥二郎・陸軍中将への祝いとして、当時朝日新聞社長だった村山長挙氏が贈ったという。その後の詳しいルートは分からないが、スーチー国家顧問の父・アウンサン将軍に渡ったとされる。財団は「ミャンマーの独立をめざした将軍を激励し、飯田中将が寄贈したのではないか」とみている。

 財団がスーチー国家顧問から修復依頼を受けたことを知った瀬戸内市が日本ミャンマー協会を通じ、「日本刀の聖地として役立ちたい」と名乗りをあげた。

 日本財団の森祐次常務理事(67)が26日、刀剣の里を訪れて日本刀を手渡し、感謝の言葉を述べた。引き受けた研ぎ師の横山さんは日本刀の状態を確かめ、「無駄のない、きれいな状態にし、再び刃文も出るように進めたい」と答えた。

 修復作業は11月1日に開始予定。刀身を研ぎ、白鞘(さや)や、刀身を鞘に固定する金具「はばき」を職人らが新たに作るという。(高橋孝二)