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 東京電力福島第一原発事故で福島県に広がった放射性物質の状況は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)と比べて、土や河川の放射能濃度の低下スピードが大幅に速いという結果を筑波大などの研究チームがまとめた。28日、科学誌に発表した。

 筑波大の恩田裕一教授らは、福島第一原発から80キロ圏内を中心に放射性物質の分布などを調べた210本以上の論文を検証。チェルノブイリ原発事故による周辺地域の汚染と比較した。

 その結果、福島はチェルノブイリと比べ、地表の放射性セシウムの量が早く減ったことがわかった。地表にある量が少ないほど空間線量率も低くなる。福島では除染などが行われた一方、チェルノブイリは大半の地域で活動が少なかったからだという。

 こうした地表の放射性セシウムは、河川に流れ出す「供給源」でもある。土についた状態で川を流れる放射性セシウムの濃度について、事故後1年間で福島とチェルノブイリで比べたところ、福島のほうが1・6倍早く低下していた。チームは、地表の放射性セシウム濃度の低下が要因だと分析している。

 また、水に溶けた状態の放射性セシウム濃度について、沈着量の違いの影響を除いて比べると、福島の河川のほうが欧州の河川よりも100分の1程度低かった。淡水魚の放射性セシウム濃度は河川の水に溶けたセシウム濃度と相関関係にあるため、福島と欧州の淡水魚の濃度を比べても同様の差があるという。

 筑波大の恩田さんは「放射性セシウムの実態などを明らかにした」と成果を強調する一方、「福島の長期的な研究データを蓄積し、公開する財政的な見通しがない」として、国として研究を継続する必要があると訴えた。

 論文はウェブサイト(https://doi.org/10.1038/s43017-020-0099-x別ウインドウで開きます)で読める。(福地慶太郎