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 虐待や性暴力を受けた子どもを支援する横浜市のNPO法人「神奈川子ども支援センターつなっぐ」が、子どもが被害について証言する際の心理的負担を和らげるため、子どもに寄り添う「付添犬」の普及に取り組んでいる。

 人懐こい笑顔を見せるゴールデンレトリバーの「フラン」は、病院や介護施設を訪れて利用者と交流する「セラピー犬」だ。日本動物病院協会所属のハンドラー、田野裕子さんとコンビを組む。

 人との交流経験が豊富で、穏やかで子どもが好きといった性格が評価され、2017年ごろから付添犬の活動も始めた。

 深刻な虐待などの事例で、被害児童は警察官や検察官、児童相談所職員、家庭裁判所調査官、弁護士の聞き取りを受ける。時には法廷で証言を求められることもある。事実究明のために必要な手続きだが、精神的負担は大きい。

 虐待などで深刻なトラウマを受けた子どもが、事情聴取や証言でさらなるトラウマを受けることがないよう、精神的にサポートするのが付添犬の役割だ。

 付添活動では、フランは子どものそばでじっと伏せている。子どもはフランのリードを手に持ち、証言しながらフランに目を落とすことも。休憩時間には子どもと触れあい、気持ちを和らげる。田野さんもリードを持ち、内容が聞こえないようにイヤホンをつけて音楽を聴きながらそばに付きそう。「お子さんの表情を見ていると、そばにいるフランを見て、少しでも穏やかな気持ちでお話できているように感じます」と田野さんは話す。

 こうした取り組みは、03年に米国で始まった「コートハウスドッグ」が始まりだという。日本でも児童精神科医や弁護士らが14年に取り組みを始めた。昨年には横浜市で「つなっぐ」が結成され、アメリカの組織とも連携して活動を進めている。

 調停や裁判になる可能性がある虐待事例などで、被害児を担当する弁護士や医師が派遣を依頼。「つなっぐ」が派遣を決定すると、日本動物病院協会や日本介助犬協会の認定を受けた犬とハンドラーが、ペアで派遣される。現在4頭が活動し、これまで関東と東海地方で数十回派遣されてきたという。事情聴取の場面だけでなく、7月には刑事裁判の公判で被害児童が証言する際に、付添犬の同伴が許可された。名古屋市中央児童相談所では、協同面接の前後で付添犬によるふれあい活動がされている。

 つなっぐの代表理事の飛田桂弁護士(神奈川県弁護士会)は「子どもが自分の被害を話すことは、被害を再体験することでもある。そんなとき、言葉の要らないわんちゃんの存在は人間には勝てないものでもあります」と話す。捜査員や弁護士ら大人の緊張も和らげ、子どもが話しやすい空気を生む。

 付添犬について知ってもらおうと、「傷ついた子どもの心に寄り添う付添犬」と題する、飛田弁護士と田野さんによる講演が11月3日にウェブ配信される。無料で、日本動物病院協会のウェブサイト(https://www.jaha.or.jp別ウインドウで開きます)から事前申し込みが必要。問い合わせは日本動物病院協会(03・6262・5252)へ。(神宮司実玲)

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