1985年に熊本県内で男性が殺害された「松橋(まつばせ)事件」で殺人罪などに問われて服役し、昨年3月に再審無罪が確定した宮田浩喜(みやた・こうき)さんが29日、肺炎のため熊本市内の病院で死去した。87歳だった。

 宮田さんは、任意捜査で「自白」したことが有力な証拠とされ、殺人罪などの罪に問われた。一審の途中で否認に転じ、無罪を主張して最高裁まで争ったが、90年に懲役13年が確定。99年に刑期を終えた。

 弁護団は97年、宮田さんが「犯行後に燃やした」と供述したシャツの袖を検察側が開示した証拠の中から発見。2012年に熊本地裁に再審請求し、19年3月に無罪が確定した。

 宮田さんは今年9月、違法捜査などの結果、長期間拘束されて精神的苦痛を受けたと訴え、国と熊本県に約8500万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。

 宮田さんは、脳梗塞(こうそく)の後遺症と認知症の影響で意思の疎通や自力歩行が難しい状態だった。熊本市内の高齢者施設で暮らしていた。