【動画】大爆発から3カ月経ったレバノンの首都ベイルート=高野遼撮影
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 中東レバノンの首都ベイルートで8月に起きた大爆発の現場には、現在も被害の爪痕が生々しく残っていた。今月中旬、記者が現地に入ると、コロナ禍と重なり、爆発の大きな余波で苦しむ約20万人のシリア難民たちの姿があった。

拡大する写真・図版爆発現場近くのビルは、ガラス窓や壁が吹き飛ばされた状態のまま残っている。復旧が進んでいない建物も多い=2020年10月15日、ベイルート、高野遼撮影

 爆発のあった倉庫は跡形もなく、そばの穀物庫は崩れかかった巨大な壁だけが残っている。市街地に目を向けると、いくつものビルが骨組みをむき出しにしていた。ガードレールはねじ曲がり、折れた電柱には爆発で亡くなった消防士の写真が掲げられていた。

 爆発が起きたのは8月4日夕。港の倉庫内に6年前から保管されていた硝酸アンモニウム2750トンが爆発した。死者は190人を超え、負傷者は6千人以上。爆風の影響は半径3キロに及び、約30万人が住まいを失った。

「底辺のさらに下」 シリア難民の苦境

拡大する写真・図版爆発で崩壊した自宅近くに立つシリア難民のハラス・ファラージさん一家。命は助かったものの、厳しい生活を強いられている=2020年10月18日、ベイルート、高野遼撮影

 現場から約1キロ離れた住宅街で、ハラス・ファラージさん(50)の一家に出会った。8年前、内戦が激化していたシリアの北部ラッカから逃れてきた難民だ。

 崩れかかった建物の8畳ほどの部屋に家族7人で暮らす。あの日、車庫にいたファラージさんは爆風に体ごと吹き飛ばされ頭を強打。家族は全員部屋にいて無事だった。

 近隣住民の多くは立ち去り、周囲の建物は崩れ落ちたままだ。レバノン政府からの支援はなく、市民団体からの物資も途絶えつつある。次女アリーンちゃん(5)はバイクや工事の音を聞くと、「また爆発する。逃げようよ」とおびえる毎日だ。だが一家に行くあてはない。故郷のラッカは過激派組織「イスラム国」(IS)の「首都」とも呼ばれた街で、自宅は破壊されたという。

拡大する写真・図版爆発で破壊された建物の一室に住み続けるシリア難民のハラス・ファラージさん一家。爆発以来、次女アリーンちゃんは大きな物音におびえるようになったという=2020年10月18日、ベイルート、高野遼撮影

 子どもたちはベイルートの学校に通えず、医療保険にも入れない。ビル管理人として月40万レバノンポンド(約2万7千円)の収入があるが、経済危機とコロナ禍によるインフレで価値は1年で5分の1に下落した。

 終わりが見えない難民生活に爆発の影響がのしかかる。「多くのレバノン人も支援を求める中で、私たち難民がいるのは底辺のさらに下。わずかな希望もなくなった」(ベイルート=高野遼)

拡大する写真・図版ベイルートの地図

「血だらけの光景、頭を離れない」

 街中には壊れたままの建物が残…

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