拡大する写真・図版「はりぼて」共同監督の砂沢智史さん(左)よ五百旗頭幸男さん=富山市のチューリップテレビ、桜井泉撮影

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 全国の地方議会で不正使用が次々に明るみに出た政務活動費。富山市でも4年前、地元民放・チューリップテレビの調査報道が発端となり、約半年で市議14人が辞職に追い込まれた。その顚末(てんまつ)は今年、ドキュメンタリー映画にまとめられて全国で公開中だ。メディアによる権力監視はどうあるべきか。同局で取材した砂沢智史さん・五百旗頭幸男さんに聞いた。

 ――富山市議の政務活動費の取材を始めたのは、なぜですか。

 砂沢「議員が自らの報酬を10万円アップし、全国の中核市では最高水準の月70万円にするよう要求したのがきっかけです。審議会はわずか3時間の非公開審議で『引き上げ妥当』と答申。報酬増額の条例案は可決されました。増額は必要か。議員の政治活動の実態を探るため、別建てで支払われ、使途も不透明な政活費をチェックしようと考えました。全議員40人の支出伝票などを情報公開制度で請求したところ、3年分で約1万5千枚の書類が出てきました」

 ――膨大な書類が調査報道の始まりだった、というわけですね。

 砂沢「山のような書類を、日常業務の後、毎晩、先輩記者と2人1枚ずつチェックしていきました。コピー代は約15万円。モノにならなかったらどうしようと、不安でいっぱいでした。でも、しばらくすると、領収書の発行元が異なるのに筆跡が同じだったり、数字の書き加え、印刷代や菓子代が常識外れに高かったりするなど、怪しい領収書に気づきました」

 ――領収書が不正を暴く貴重な証拠になりましたね。

 砂沢「ある議員が公民館で開いた市政報告会の資料の印刷代が高額なので、公民館に確認したところ、開催記録がありませんでした。自宅前で本人に矛盾を問い詰めたところ、別の会場で開いたというので、さらに調べるとこれもウソでした。政活費は会派ごとに支給され、不正に引き出したカネはプールされ選挙資金になったほか、議員個人の懐に入ったり、香典、祝い金、電報代、飲食代などに使われたりしたとみられます」

 ――政活費は支持者との日頃のつきあいに使われていた、と。

 砂沢「政活費は本来、議会活動の報告会や視察などに使うものです。しかし、多くの市議は税金だから大切に使おうという意識がなかった。領収書を偽造してでも、上限の1人月15万円まで使い切るのが当たり前になっていました。富山は『自民王国』とよく言われますが、こうした不正は自民党以外の会派にも広がっていました」

土下座は痛くもかゆくもない

 ――映画では、政活費の不正を指摘された議員が支持者の前で土下座するシーンが印象的です。

 五百旗頭「あれは、反省しているように見せるパフォーマンスに過ぎません。支持者は、『あそこまで謝ったのだから、もういい。また地域のために頑張って欲しい』と許してしまいがちです。市全体のことを考えれば、議会の腐敗は許されないはずなのに、有権者は自分の地域のことしか考えない。議員たちは、いつも選挙のたびに『一票を』と家族ぐるみで土下座していますから、本人たちにとっては痛くもかゆくもないのです」

拡大する写真・図版選挙戦で土下座する富山市議選の候補者=映画「はりぼて」から

 ――不正で多くの市議が辞職したことを受けた16年の補欠選挙の投票率は27%にとどまりました。

 砂沢「富山は地縁血縁の強い社…

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