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 フランス南部ニース市の大聖堂で29日朝、居あわせた人たちを男が刃物で襲う事件があり、仏メディアによると3人が死亡した。ほかにも負傷者が出ている模様だ。男は治安当局の銃撃を受け、病院に運ばれた。犯行後に「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたという。マクロン大統領は「フランスがイスラム過激派のテロに襲われた」と断じた。検察の対テロ部門が捜査を始めた。

 AFP通信などによると、現場は市内中心部にあるノートルダム大聖堂の内部。犠牲者の1人は女性で、もう1人は教会係員の男性(45)。2人とも首を切りつけられたという。もう1人の女性は負傷して大聖堂近くのカフェに逃げたが死亡したという。同通信は容疑者はチュニジア人(21)と伝えている。ニースのエストロジ市長は、犠牲者は今月にパリ郊外で首を切断されて殺害された教員男性と「似たような方法で」襲われたと述べた。

 事件後に現場を訪れたマクロン氏は「我々が恐怖に屈することはない」と強調した。「カトリック教徒への国全体としての支持を表明したい」とも述べ、数千人の軍隊を教会などの警備にあてる考えを示した。仏政府は同日、テロの警戒レベルを最高段階のレベル3に引き上げた。

 フランスでは、仏風刺週刊紙「シャルリー・エブド」が9月にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載して以来、テロ事件が相次いでいた。風刺画の掲載や中学校の授業での活用が動機とされる。今回の事件の背景は不明だが、9月にパリの同社旧本社前で男女2人が襲われるなど、この2カ月で宗教や風刺画が絡む事件は3度目だ。マクロン氏はイスラム過激派対策を理由に、モスクの閉鎖など、イスラム教への規制を強めていた。11月1日はカトリック教徒がお墓参りをする祭日の「万聖節」にあたり、仏当局はテロへの警戒を呼びかけていた。

 リゾート地のニースでは16年7月に、今回の現場から数百メートルの海岸沿いで、チュニジア人の男が運転する大型トラックが花火の見物客の列に突っ込み、80人以上が死亡するテロ事件が起きている。この事件の容疑者はイスラム過激派に関心を寄せていたとされる。

 仏外務省によると、29日にはサウジアラビア・ジッダのフランス総領事館でも警備員が男に刃物で襲われた。警備員の命に別条はなく、男は拘束された。(パリ=疋田多揚)

【動画】フランスで10月、イスラム教の預言者の風刺画を授業で見せた教員が殺害された。仏国内では同様の風刺画をめぐり暴力的な事件が続いてきた。