クリーンに、スマートに~すぐそこまで来ている水素社会
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 新型コロナウイルスの影響で、10月11~15日にオンラインで開催された国際シンポジウム「朝日地球会議2020」(朝日新聞社主催)。コロナ危機と文化や循環型経済などについて討論した様子を、アーカイブ動画とともにお届けします。

 毎年のように私たちの生活を脅かす異常気象を防ぐには、どんな手立てがあるのか。パネル討論「クリーンに、スマートに~すぐそこまで来ている水素社会」では、二酸化炭素を出さないエネルギーとして期待される水素について話し合った。

 九州大学水素エネルギー国際研究センター長の佐々木一成さんは、エネルギー源が高度成長期の石炭から石油の時代を経て、いまが「脱炭素」という転換点にあると説いた。

 佐々木さんは、水素で発電する燃料電池をやさしく解説。事例として水素自動車を挙げ、国内には水素を供給するステーション数が世界最多の130基以上あると説明した。九大には、10年後の水素社会を体験できる設備があり、「大学は未来が見えるタイムマシン。子どもらに体験して欲しい」と呼びかけた。

 岩谷産業は液体水素を輸入し、産業界に供給している。取締役水素本部長の津吉学さんは、オーストラリアで褐炭から水素を作る事業や、福島・浪江町で太陽光から水素をつくり、地域に供給する最先端のプロジェクトを説明した。同社の創業者岩谷直治さんが80年前から水素に注目していたことを紹介。「水素社会の実現が我々の夢」と結んだ。

 パナソニックは燃料電池の製造・販売を手がけている。スマートエネルギーシステム事業部長の寺崎温尚さんは「災害が起きても停電しにくい社会を整えたい」と事業の意味を強調。会場に持ち込まれた燃料電池を前に、来年の東京五輪の選手村跡地に5キロワットの燃料電池を24台設置する構想を説明した。2年後には700ワット機を出荷する計画も明らかにした。

大学人と企業人の連携を コーディネーター・多賀谷克彦

 「現実的な議論がしたい。水素社会の夢を語るだけでなく、課題もきちんと説明しよう」。事前の打ち合わせで佐々木一成さんから提案があった。異論はなかった。共通に挙げたのが価格だ。岩谷産業が自動車に提供している水素価格は1立方メートル、約100円。ただ、これはガソリンを意識した価格。政府は10年後の目標価格を現在の3分の1にする。将来の水素社会を支え、リードするのは、いまの20代が中心だろうか。よりよき未来社会を継承するためにも、大学人と企業人の連携が欠かせない。(コーディネーター・多賀谷克彦