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 県内の高校が最先端の分野に挑んでいる。学校同士が協力したり、遊びの要素を入れたりと工夫しながら新たな時代を切り開こうとしている。

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 静岡県立清流館高校(焼津市)で27日、専門知識を持つ教諭を迎えて、遺伝子組み換えの実験があった。少子化で生徒数が減少し、専門的な実験や実習が学校単位では難しくなる中で、学校間の連携に活路を見いだそうとする試みだ。

 清流館高校の合田雅行教諭(51)が、静岡大理学部の後輩で分子細胞生物学の博士号を持つ焼津中央高校の矢追雄一教諭(44)を招いた。矢追教諭は昨年まで務めていた岐阜高校でも遺伝子組み換え実験を指導していた。遺伝子組み換え実験は生物の教科書に載っており、大学入試でも頻出の単元だ。ただ、実際に実験を行うには高額の機材や資材が必要で、多くの高校では座学にとどまる。

 2人は公益財団法人山崎自然科学教育振興会などの研究助成金を受けて、資機材を購入し、実験に臨んだ。2年生の特進クラス8人を前に、矢追教諭は「今日は地球にいない生物を作ります。やべーだろ」と冗談交じりに実験の意義を説明した。

 実験では、大腸菌にオワンクラゲの蛍光たんぱく質遺伝子を組み込んだ。生徒たちは初めて触る実験機材を慎重に扱いながら、各工程をこなした。

 松浦吏玖(りく)さん(17)は「遺伝子組み換えの理解度が深まった。普段の生活では見ることがない機材を使えて貴重な体験ができた」。藤田莉奈さん(16)は「高校に入って初めての実験で興味深かった。実験の方が教科書を読むより学びが大きいと思う」。

 合田教諭は「生物の教員は今、各高校に1~2人。技術や知識がある学校と資機材がある学校が補いあって、高度な実験を幅広く実現していきたい」と話した。今後、PCR検査の手法を用いて、お酒が飲めるかどうかの遺伝子診断をする実習を両校連携で行う予定だ。(阿久沢悦子)

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 静岡市駿河区有東の駿河総合高校で20日、気候変動に関するワークショップがあった。県が開発したカードゲーム「ふじのくに気候変動適応アクションカード」を使い、生徒たちが気候変動の影響とその対策を学んだ。

 気候変動の影響とみられる現象が書かれた「つぶやきカード」には「シカやイノシシの害が増えた。やっきりしちゃう」。その対策が書かれた「アクションカード」には「ジビエ料理もあるよ。命をありがたく頂こう」。

 2種類の対になるカード50組100枚を配り、トランプゲームのババ抜きのようにペアを捨てていく。カードを捨てる際には全員の前でそのふたつがなぜ対になるのかプレゼンし、認められなければいけない。アクションカードがなくなった人から勝ち抜けるというルールだ。

 ワークショップは気候変動の影響を把握する調査活動の一環として県が主催している。昨年、県民を対象にしたアンケートでどのような気候変動の影響を感じているか調査を実施。その結果を基に、今年度から、やっきり(腹が立つ)といった方言や、名産のお茶に関するテーマをちりばめたカードゲームの開発に着手した。

 今後、学校での出前授業などで活用するという。県の担当者は「気候変動の現状を自ら学び、当事者意識を持つきっかけにしてほしい」と話している。(広瀬萌恵)

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