日々の感染者数どうみれば? 最も重要な指標は…
東京都のモニタリング会議は29日、新型コロナウイルスの感染状況について8週連続で「感染の再拡大に警戒が必要」、医療提供体制について17週連続で「強化が必要」との評価を維持した。いずれも4段階のうち2番目に深刻な状況だ。連日、100~200人台と高止まりしている感染者数。この日々の数字をどう読み解き、何に注意すればいいのか。(長野佑介)
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都が毎夕発表する1日あたりの感染者数は、その日の発生数ではなく、前日午前9時~当日午前9時に各地の保健所から報告された人数だ。都によると、検査で陽性と判明した日から都の公表までに「2~3日ほどかかることが多い」といい、曜日ごとにその数は大きくばらついている=表。
少ないのは月曜だ。9月以降、100人超は1回しかない。検査・医療機関や保健所は土日は休日体制で、受診・検査件数が少なくなるため、月曜朝に都に上がる報告数も抑えられたものになるからだ。
一方、感染者数が跳ね上がる傾向があるのは木曜だ。月~水曜の検査結果が一気に集まるためとみられる。金、土曜も検査数が多い平日の結果が反映されるため多くなるという。
ある都幹部は、室内に貼ったカレンダーに毎日の感染者数を記入している。「曜日ごとの『縦列』で数を見ると、日々の感染者数の増減に一喜一憂すべきでないことがわかる。7日間平均で数字をならして感染の増減の傾向を分析していくことが大切だ」
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感染者数が急増する時は、大規模なクラスター(感染者集団)が含まれていることが多い。
今月15日の木曜は8月20日以来、最も多い284人を数えた。この日は日大の運動部計14人、デイサービスの職員・利用者計11人などクラスター分が上積みされたのが大きかった。
一方、ある都幹部が警戒するのが、クラスターの中でも、接待を伴う飲食店などの感染者数だ。3~5月ごろまでの「第1波」、6月以降の「第2波」の両方で、感染拡大の予兆になっていたと見る。「店側の意識も高まっているが、ここで感染が広がるのは、客側の警戒心が薄れている兆しとも捉えられるかもしれない。客が感染すると市中感染にもつながりやすい。今後も注意深く見ていく必要がある」と語る。
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専門家らが都内の感染状況や医療提供体制を評価・分析するモニタリング指標は、感染者数や陽性率など全部で七つある。多くの幹部が「最も重要」と口をそろえるのが、「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO)を使用」している人を数える「重症者数」だ。重症者数が急増すれば、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)に直結するためだ。
小池百合子知事は「(感染者数ではなく)重症者から報道していただくのが全体のリアルな把握という点では必要」と繰り返してきた。27日には重症者は33人と前日から4人増加。ほぼ1カ月ぶりの30人台となった。29日時点では29人に減ったが、厳しい状況が続いている。
モニタリング会議は、医療提供体制について「重症患者数が再び増加しており、今後の推移と通常の医療体制への影響に警戒が必要」として、4段階のうち2番目に深刻な評価を維持し続けている。都幹部の一人は「感染者数の増加だけではなく、医療提供体制が最も深刻になった時が本当の危機だと言える。重症者は命の危機に直結する。重症者数を減らしていくことが何よりも大切なことだ」と語る。
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