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 日本銀行は29日の金融政策決定会合で、いまの金融緩和を続けると決めた。この日発表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で国内経済は「持ち直している」としたが、2020年度の実質経済成長率と消費者物価の見通しをそれぞれ下方修正。新型コロナウイルスの影響が続き、回復まで想定以上に時間がかかると分析している。

 展望リポートでは、日銀の政策決定に関わる政策委員がそれぞれ示した見通しをまとめる。20年度の実質成長率は、前回7月に示した前年比マイナス5・7~同4・5%(中央値マイナス4・7%)から、マイナス5・6~同5・3%(中央値マイナス5・5%)に下方修正した。

 引き下げの主因は、旅行や飲食などのサービス需要の回復の遅れ。黒田東彦(はるひこ)総裁は会合後の記者会見でサービス業について「緩やかに回復しているが、新型コロナが広がる前のレベルにはかなり遠い」と述べ、経済活動と感染症対策の両立の難しさに触れた。

 20年度の消費者物価指数は、政府の観光支援策「Go To トラベル」による割引で宿泊料が下がったことなどを踏まえ、7月時点の前年比マイナス0・6~同0・4%(中央値マイナス0・5%)から、マイナス0・7~同0・5%(中央値マイナス0・6%)に下げた。中央値は21年度0・4%、22年度0・7%と物価が上がる方向との見方を変えていないが、日銀が目標に掲げる2%にはほど遠い状況だ。

 菅義偉政権が進める携帯電話料金の引き下げなども新たな下落要因になるとの見方があるが、黒田氏は「特定部門における一時的な価格変動で、(物価の)趨勢(すうせい)をきめるものではない」と述べた。

 新型コロナへの対応策として導入した企業の資金繰り支援策や市場安定化策の一部は来年3月に期限を迎え、延長するかどうかが今後の焦点。黒田氏は「必要と判断すれば延長する」と述べ、政府の対応や経済状況などをみつつ判断する姿勢を示した。(渡辺淳基