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 米商務省が29日発表した2020年7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、年率換算で前期比33・1%増となった。過去最悪のマイナス成長となった前期から回復に転じたが、コロナ危機前の成長軌道には及ばない。格差も広がり、9月以降は新規感染者数も再び増加傾向が続く。

 大規模な財政出動や経済活動の再開を反映し、成長率は31・4%減(確定値)となった4~6月期から一転、戦後最高の伸びを記録した。市場予想(約31%)を上回る伸びだった。

 11月3日の大統領選直前に出た速報は、再選を狙うトランプ大統領の「成績」を示す指標でもある。トランプ氏は選挙戦終盤で「パンデミックは終わりつつある」と強弁し、挽回(ばんかい)を図る。回復を押し上げたのは個人消費だ。巨額の財政支援やゼロ金利政策で、自動車消費や住宅投資が伸びた。ただ、伸び率の大きさは、前期の落ち込みが大きかったことの裏返しでもある。GDPの実額は依然コロナ前の水準を下回り、「V字回復」にはほど遠い。

 多くの低賃金の黒人やヒスパニックが従事するサービス産業の回復は弱い。人種問題や経済格差の問題と連動して深まる社会の分断のゆくえが、大統領選の重要な焦点となっている。(ワシントン=青山直篤)