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 新型コロナウイルスは、本格的な収穫期を迎えた愛媛県南予地方の温州ミカン産地にも大きな影響を及ぼしている。農家の高齢化が進み、傾斜地の畑が多い産地では収穫期の助っ人となる「みかんアルバイター」の力が不可欠だが、感染拡大以降、人手不足の心配が表面化。農家はぎりぎりまで人手確保に追われた。

 「いつもはハローワークで募集するんだけど、今年は全く集まらない」。八幡浜市で農業生産法人「ミヤモトオレンジガーデン」を経営する宮本泰邦さん(44)は、4・5ヘクタールの畑で栽培するミカンの収穫に気をもむ。手を尽くした結果、松山市の人材派遣会社に頼むなどして3人を確保。ようやく一息つけたという。

 県やJAの関係者によると、温州ミカンの収穫が本格化するのは11、12月。昨年は、県内外から約670人のアルバイターが集まり、延べ人数では2万8千人が収穫を手伝ったという。多くは、産地のJAにしうわ(八幡浜市)やJAえひめ南(宇和島市)が農家に仲介した県外アルバイターだった。

 しかし、今年は新型コロナの影響で両JAが県外アルバイターの仲介を中止。代わりに県内アルバイターの募集を強化したものの、多くの農家が個別に人手を確保する必要に迫られた。

 アルバイターが滞在中に使う宿泊施設の確保も課題の一つだ。これまでは合宿所のように集団で宿泊できる施設を利用することが多かったが、「3密」の危険性が避けられない。八幡浜市などが旧舌田小学校校舎を改修して整備した宿泊・合宿施設「マンダリン」も、相部屋のため今年は使用中止になった。

 県外からのアルバイターの確保が見込めない中で、大きな力になりそうなのが有償ボランティアの派遣制度だ。松山市などから、休日を利用して日帰りで収穫に行く仕組みで、ボランティアを募集する「愛媛お手伝いプロジェクト本部」は、昨年の約2倍にあたる約1300人の県内ボランティアの派遣を予定している。

 「ボランティア」なので会社員や公務員など副業が禁止されている人も参加できるのが利点。今年は高校生も多数参加する。参加者には地元の飲食店などで使えるクーポン券が1日あたり5千円分支給される。

 地域の基幹産業が直面する危機だけに、県内の自治体も積極的な支援に乗り出している。8月補正予算では、八幡浜市が送迎バスの補助や農家が集めた県外アルバイター向けのPCR検査費用などとして約9400万円を計上。県も宿泊費の補助など約9300万円を組んだ。9月補正では、宇和島市が375万円を予算化している。

 みかんアルバイターについて、県の担当者は「ボランティアも含めると、おおよそ確保できるメドがついたと聞いている。収穫に影響はなさそうだ」と話している。(藤家秀一)

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