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 海底にすむ生物「ウミユリ」が、捕食者に襲われると腕を切り落とす習性を約2億5千万年前から持っていたと、名古屋大などの研究チームが発表した。トカゲのしっぽ切りと同じく「自切(じせつ)」と呼ばれ、駿河湾で採ったウミユリと、米国で見つかった化石との比較で明らかになった。

 ウミユリは植物のような姿と名前だが、ウニやヒトデと同じ「棘皮(きょくひ)動物」の一つ。棘皮動物の原始的な特徴を持ち、「生きている化石」と呼ばれる。海底に立って多くの腕を広げ、エサのプランクトンなどを集めて生きている。魚などの捕食者に襲われると腕を自切し、切れた腕が動いて注意をそらし、本体への攻撃を避けていると考えられている。

 名古屋大の大路樹生教授(古生物学・動物学)らは2019年秋、静岡県の駿河湾北東部の水深約140メートルの海底からウミユリを採集した。水槽に段ボールをかぶせて海底の環境を再現して観察。切れた腕が動き回ると、水槽の砂底に放射状の筋など独特の模様ができることに気づいた。

 「昔から同じ行動をしていたとしたら、このような模様が化石に残っているかもしれない」と過去に見つかった化石を調べると、米国の三畳紀初期(約2億5千万年前)の地層から出た化石に同じ特徴の模様があることが判明したという。

 捕食者に対する戦略は、生物の生存に重要だ。大路教授は「もっと古い時代にも自切をしていたのかどうか調べ、ウミユリの対捕食者戦略の起源がどこにあるのかに迫りたい」と話している。

 電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに論文(https://www.nature.com/articles/s41598-020-72116-1別ウインドウで開きます)が掲載された。(山野拓郎)