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 「糸島ブランド」に新たな食材が名乗りを上げた。福岡県糸島市で、地元産のオリーブを使った製品作りが活発化。地元の水産加工品メーカーはシェフらと連携して塩漬け作りに乗り出し、元建設会社員らは耕作放棄地で栽培したオリーブでオイルの製品化に成功した。「糸島オリーブ」のブランド化が動き出した。

 明太子(めんたいこ)などを製造販売する「やますえ」の馬場孝志社長(45)やフレンチのシェフ日下部誠さん(49)らは先日、若松潤哉さん(44)が営む市内の農園でオリーブ約45キロを収穫した。市内の食品加工会社で選果され、塩水への漬け込みが始まった。

 通常使われる劇物のカセイソーダではなく、アルカリ水と重曹を使って渋みを取る。「安心安全への挑戦」と関係者。12月に完成予定で、糸島市や福岡市などの約20店のレストランに納めるほか、同社の店頭や通販でも提供する。

 「糸島のオリーブは潮風に当たって独特の風味がある。ナチュラルでえぐみがありません」。技術指導にあたる日下部さんは太鼓判を押す。

 馬場さんは「糸島の産品を生かす地域商社をめざしており、オリーブの生産者に『出口』を提供する地産地消の環境づくりをしたい」と意気込む。

 地元のオリーブ生産者10人でつくる「糸島オリーブ協会」の蓑田(みのだ)昌治会長(67)らは昨年、6年がかりで育てたオリーブから「糸島エキストラバージンオリーブオイル」の初製品化に成功した。200ミリリットル入りで30本を生産し、市内の「いとしま応援プラザ」で販売した。1本4500円と高額だが、すぐに売り切れたという。

 蓑田さんは建設会社を7年前に定年退職し、妻の実家がある糸島市に移住。妻の実家はかつてミカン畑を営んでいたが、耕作放棄地に。「ここで人があまりやっていない作物を育てたい」とオリーブ栽培を始めた。九州オリーブ普及協会(福岡市)で技術を習得、6年前、苗木を植えた。

 害虫との戦いに明け暮れたが、昨年、100本のうち25本が結実。同協会の工場で搾油してオリーブオイルの完成にこぎ着けた。今年も12月には完成する予定だ。「糸島産のオリーブはほどよい苦みがあり、フルーティーでまろやか。将来はもっと生産量を増やしたい」と意気込む。

 九州オリーブ普及協会の担当者は「糸島は日照時間が短くなく、降水量もさほど多くないのでオリーブ栽培には向いている。大消費地の福岡市に近く、観光農園としても期待できる。生産を増やせば将来性はあるのでは」と話している。

 「やますえ」(092・321・0123)▽糸島オリーブ協会(090・3012・2193)。(鳥居達也)

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