日米が開戦した1941年12月8日、北海道帝国大学(現・北大)で起きた冤罪(えんざい)事件「レーン・宮沢事件」で、米国人教師レーン夫妻らとともにスパイ容疑で逮捕された宮沢弘幸さんの妹の秋間美江子さんが、25日に移住先の米コロラド州ボルダーで亡くなった。93歳だった。兄の名誉回復とともに、戦中の軍機保護法に通じるとして特定秘密保護法反対を訴えていた。

 親交がある千葉市の山野井孝有(たかゆき)さん(88)によると、9月17日に秋間さんの家族から電話があり、本人に代わると、「兄のスパイの汚名をそそぐために一生懸命やってくれてありがとう。日本の皆さん、ありがとう」と何度もか細い声で話したのが最後だった。

 秋間さんの兄の宮沢さんは、レーン夫妻とともに軍機保護法違反容疑で逮捕された。宮沢さんが夫妻に伝えた「軍事機密」とされる飛行場の存在は公に知られていたが、懲役15年の判決を受けて服役。釈放後の47年、獄中で患った結核などにより27歳で亡くなった。

 秋間さんは65年に米国に移住した。兄の名誉回復を求めながら、2014年に施行された特定秘密保護法について「機密の範囲が戦前のように拡大していく」と廃止を求め、その年に北大で開かれた講演会で「二度と私の家族のような、悲しい思いをする人をつくらないでください」と訴えていた。

 「宮沢・レーン事件を考える会」事務局長の奥井登代さんは「秋間さんがいなければ事件の教訓を伝えようという今の運動はなかった」と残念がった。(片山健志)

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