[PR]

 学校防災を巡る宮城県内の小中高などの取り組みで、多くの学校が専門家との連携に苦慮している現状が県教育委員会のまとめで浮かび上がった。防災マニュアルの整備といった基本的な備えは広がる一方、より高度な対応で足踏みが続いているようだ。

 県教委が29日、学校防災を検証する有識者会議「県学校防災体制在り方検討会議」で示した。調査対象は、仙台市を除く県内の市町村教委や小中高など488校。石巻市立大川小学校の津波訴訟の判決が昨年10月に確定したことを受け、確定判決で指摘された複数の避難所の設定や地域住民との連携などについて、取り組み状況を尋ねた。

 その結果、立地や自然環境などを踏まえたマニュアルを作成したと答えた学校は約95%に上り、複数の避難場所や避難経路を設定している学校も65%あった。ただ、その避難場所などについて専門機関から助言を得る機会を設けているのは約14%にとどまった。

 また、災害時に教職員が取るべき対応を研修などで共有していると答えた学校は約97%で、避難方法について地域住民と訓練を通じて確認しているのは約51%。だが、大学や市町村の防災部局を招いた研修となると、約19%しか実施していないという。

 専門機関や地域と連携した取り組みが進んでいない状況が分かった。

 こうした調査を元に、在り方検討会議が四つの基本方針を策定。教職員の災害対応力の強化▽児童らが自らの命を守る力の育成▽地域の特性を踏まえた体制の整備▽地域ぐるみの体制の構築、だ。

 提言では、学校が高い知見で自らのマニュアルの実効性を検証できるよう、各教委が相談窓口を設置したり、専門機関のアドバイザー派遣を検討したりすることを求めた。地域との連携強化については、各教委が地域コーディネーターを養成するよう促した。

 在り方検討会議はこうしたことを盛り込んだ報告書案を了承。年内にも最終案を県教委に提出する予定だ。委員長を務める東北大学の今村文彦教授は「県内の学校で活用するのはもとより、国内外に発信できれば」と話した。

 報告書案はまとまったものの、具体的な取り組みについては学校や各教委に任されている部分が大きいのも実情だ。

 大川小6年の長女を失い、検討会議の委員でもある平塚真一郎・名取市立みどり台中学校長は「現場でどう具体的に運用するかが大切。運用できる教員を育てていくことが課せられていると感じた」。今村教授は「それぞれの学校現場で進化させることが大切だ」。小学6年だった次女を失った佐藤敏郎さんも「報告書が終わりではない。(学校現場に)届くものであって欲しい」と話した。(窪小谷菜月)

関連ニュース