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 病気で家族を亡くした後、1年以上経過しても抑うつ症状がある人が1~2割、深い悲しみを抱いている人が2~3割に上ることが、国立がん研究センターが国の委託を受けて初めて実施した大規模調査で明らかになった。生前に介護の負担を感じた人は4~5割に上る。闘病中から死別後まで家族を支援する仕組みが求められている。

 調査は2017年にがん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、腎不全で亡くなった患者の遺族約5万人が対象。19年1~3月、家族の精神的な負担や患者の療養生活についてアンケートし、約2万1千人から有効回答があった。

 がんの患者の遺族は1万2900人、心疾患が約5千人、脳血管疾患が約1千人、肺炎と腎不全が約1200人。遺族の平均年齢は疾患別に64・8~66・8歳で、故人との続き柄は配偶者や子の割合が高かった。

 病気により割合が異なるが、死別後に気分が落ち込んで何もする気が起きないなど、他のことにも影響するような「抑うつ症状」がある人は12~19%。一般には3~10%といい、死別による心理的な影響が大きいことがわかる。

 亡くなった人を思って心の痛みを感じたり、悲しみが急にこみ上げたりする「悲嘆」が長引いている人は18~30%。調査時点で死別から少なくとも1年が経過しているが、苦痛が続いていることになる。どちらもがん患者の遺族がもっとも高い割合だった。介護について、負担感が大きかったと答えた人は41~51%だった。

 国は17年度からのがん対策の指針で、患者の身体的・精神的な苦痛を和らげる緩和ケアを進めるとともに、家族や遺族に対するケアの充実を図ることも課題に挙げている。センターの加藤雅志・がん医療支援部長は「遺族ケア外来なども増えてきたがまだ少なく、病院は患者が亡くなった後の支援が十分にできていない現状がある。ただ、すべての人が医療者の介入を必要とするわけではない。つらさを抱えながら生活していけるように周囲の理解が重要だ」と指摘する。

 亡夫の闘病を支えた経験があり、患者会「希望の会」の理事長を務める轟(とどろき)浩美さんは「『家族は第二の患者』と言われる。患者の治療中から、家族の心理的ケアや生活上の支援などに、医療者の伴走があるといい」と話す。

 調査では、亡くなる直前の1カ月間の療養生活についても尋ねた。痛みを感じていた人の割合は22~40%で、疾患別ではがんが最も高かった。痛みがあった理由については、「医師は痛みに対処したが不十分」「診察回数や診察時間が不十分」といった回答が目立った。自由記述の中には、「痛み止めの処方があるが量が足りない」「痛みを訴えていても医療者がしっかりと話を聞いてくれない」という家族の訴えがあったという。加藤部長は「緩和ケアに対する医師の技術や知識の不足が考えられる。医療者の態度によって、十分にやってくれていないと家族が思ってしまう状況もあるのではないか」と分析する。

 厚生労働省は、人生の最終段階においてどんな治療やケアを受けたいかを、家族や医師らと前もって話し合っておく取り組みを推奨し、18年に「人生会議」という愛称を決めた。今回の調査で、最期の療養場所や蘇生処置について、主治医と話し合いがあった割合は15~37%。患者と家族で話し合った割合は、29~42%にとどまっている。

 報告書は、センターのホームページ(https://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/sup/project/090/index.html別ウインドウで開きます)で閲覧できる。

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