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 最近、食糧問題の解決法として、コオロギなどの昆虫食がよく話題にのぼる。壊死(えし)した組織を切らずに治す治療法として、ハエの幼虫ウジ(マゴット)が使われる。海外では、死亡時刻や死因などを解明する犯罪捜査にハエや甲虫が活用されることも。「カマキリ先生」こと香川照之さんのNHKのEテレ番組にならえば、「昆虫すごいぜ!」である。

 広い意味の「ムシ」の利用は考古学でも進む。昆虫はキチン質の外殻が後世まで残りやすいため、昔の自然環境がわかる。福岡にある古代の迎賓館「鴻臚館(こうろかん)」跡のトイレ土壌では豚由来の寄生虫の卵が検出され、唐や新羅の外賓をもてなしたと推測されている。

 浜田青陵(せいりょう)賞受賞者でもある熊本大教授、小畑弘己さんは、米やクリなどを食べるコクゾウムシが何百匹も練り込められた縄文土器を確認。「コクゾウムシをクリの化身とみなして意図的に練り込め、豊穣(ほうじょう)を願ったのでは」と縄文人の精神を推理する。小畑さんの『昆虫考古学』や森勇一さんの『ムシの考古学』をひもとくと、ムシから古代が立ち現れてくるようだ。

 愛媛・松山市の葉佐池(はざいけ)古墳の人骨に付着したハエのサナギの殻(囲蛹殻〈いようかく〉)を調べたところ、死後3~4日経ってからたかるヒメクロバエ属のハエのものと判明した。ハエは暗闇では活動しないため、遺体は明るい場所で何日間か安置されていたことになる。死者を本葬するまで仮安置し、哀悼する古代の葬送儀礼「殯(もがり)」を裏付けるものとして、当時の九州大の田中良之教授(故人)の研究は、大きな話題となった。

 同じくハエのサナギの殻が付い…

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