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 元徴用工への賠償を日本企業に命じた韓国大法院(最高裁)判決をめぐり、韓国政府が「企業が賠償に応じれば、後に韓国政府が全額を穴埋めする」との案を非公式に日本政府に打診していたことがわかった。日本政府は1965年の日韓請求権協定で賠償問題は解決済みとの立場から、提案に乗らなかった。2年前の判決を機に悪化した日韓関係は、改善の見通しが立たない状況が続いている。

 日韓両政府の関係者によると、韓国大統領府は今年に入り、日本との関係改善に向けて、盧英敏(ノヨンミン)大統領秘書室長を中心に徴用工問題の解決案を検討。大法院判決を尊重するとの文在寅(ムンジェイン)大統領の意向を踏まえ、今春に穴埋め案を打診したが、日本政府側は「企業の支出が補塡(ほてん)されても、判決の履行には変わりなく、応じられない」と回答した。

議論停滞 迫る「現金化」

 大法院は2018年10月30日に日本製鉄(旧新日鉄住金)に原告の元徴用工らへの賠償を命じた。同年11月には三菱重工業にも同様の命令を出したが、両社は支払いに応じていない。韓国の裁判所は、両社が韓国内に保有する株式や特許権などを差し押さえ、売却して賠償にあてる「現金化」の手続きを進めている。

 日韓請求権協定で解決済みとの原則を崩さない日本政府は「大法院判決は国際法違反」とし、韓国側に日本が受け入れ可能な解決策を示すように求めてきた。日本政府は「現金化となれば深刻な状況を招く」(茂木敏充外相)と繰り返す。安易に韓国側の提案を受け入れれば、前例となって同様の訴訟を次々に起こされかねないとの懸念もある。

 菅義偉首相は官房長官時代の8月、現金化が現実となった際の対抗措置について、「ありとあらゆる対応策を検討し、方向性は出ている」と語った。政府内では既に、公務員への査証(ビザ)発給停止、冨田浩司駐韓大使の一時帰国など約40案が集約されている。対韓直接投資の規制、韓国企業の資産差し押さえなど、自民党保守派の主張を踏まえた「過激な案」(政府関係者)も含まれている。

 ただ、政府関係者によると、当…

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