開票率99%「論理的に逆転ない」 反対多数速報の瞬間

大阪都構想

編集委員・堀江浩(選挙・世論調査担当)
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 いわゆる「大阪都構想」をめぐる大阪市住民投票で、表向き発表された票数は賛成が少しリードしていたのに、どうして報道各社は反対多数確実と速報できたの?――不思議に思う人も少なくないようです。朝日新聞の選挙の達人が解説します。

 大阪市の住民投票で、朝日新聞は1日午後10時40分すぎ、「反対多数」と判断した。

 その段階での開票率は自社集計で99%近く。開票が残っていた区の情報が入り、賛成と反対の票差は約1万5千票に開いた。

 ほぼ同時に残っている票の総数が1万5千票を切っていた。

 追いかけていた「賛成」がこのあと残票のすべてを取ったとしても、先行している「反対」に追いつけない。

 論理的に逆転はあり得ない瞬間であり、確実に「反対多数」と判断できた。

判断の数分前、「反対上回る」が見えていた

 報道各社は開票所に記者を出して集票作業をしている。社内では届いた情報を記者がパソコンに打ち込み、開票数がただちに集計される。公式に発表される数字よりも一足速く集計が進む仕組みだ。

 朝日新聞の集計では、判断の数分前ぐらいから「反対」が「賛成」を上回っていた。

 さらに、「反対」が上回るであろうという傾向は、これよりも早くつかめていた。

 開票序盤は各区の開票数は同数で出てくるが、作業が進むにつれて差がついてくる。

 得票率に換算すれば各区で「賛成」「反対」のどちらがどのくらい優位なのかがつかめる。

 とくに前回2015年の住民投票で「賛成」はわずかの差で敗れている。

 とすると、今回、「賛成」は少なくとも前回の結果を少しでも超えるような得票数や得票率を出さないと勝ち目がない。

5年前の住民投票が判断の指標に

 前回の住民投票の結果が今回の判定をする上で大きな基準になっていた。

 開票中盤、賛成と反対の得票率を見ていると、「賛成」の側で前回の得票率をクリアできる区が少なかったり、クリアしてもわずかのリードでしかない区が目立つようになった。

 逆に前回「賛成多数」だった区が今回、「反対多数」になるなど「反対」の側に有利な状況が表れていた。

 論理的な判定に至る前の段階で、「賛成」が「反対」を逆転するには苦しい状況が徐々に見えてきていた。

 そうしたなかで開票が進み、論理的に逆転できない瞬間が訪れた。

 速報を実現するにはいかに早く開票情報を集めるかにかかっているが、その開票情報は、まさに有権者が投じた一票一票の積み重ねの結果だ。(編集委員・堀江浩(選挙・世論調査担当))

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