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 コロナ禍で落ち込む地元経済活性化策として、12月から利用可能となるさいたま市のプレミアム商品券の申し込みが低調だ。60万冊の発行に対し、応募期限までおよそ1週間の2日時点で多くても半数程度にとどまっている。専門家はプレミアム率の低さに加え、消費者と売る側の関係が希薄な大都市の特性を指摘。来春の市長選に向け、議会の審議を経ずに発行を決めた清水勇人市長の政治責任を問う声も上がる。

 1万円で1万2千円分の買い物ができる「がんばろう さいたま!商品券」の申し込みは10月12日から始まり、2日朝時点で専用ホームページから5万3193件。1人5冊まで申し込め、冊数で23万~24万冊という。2人分申し込める専用はがき6630通を合わせても、10日の締め切りまであと1週間程度で、発行部数の半数程度の計算だ。

 一方、商品券が使える店舗やサービス業者の登録は審査段階も含めて2229店で、目標の4千店に届いていない。

 市は登録促進を兼ね、10月29日から市内4カ所で店舗向け説明会を開催。しかし、2日の大宮区役所会場も定員45人に対し参加者は20人強で、多くは登録済みの店関係者だった。説明会後、北区の個人商店の経営者(66)は「以前発行された商品券でも多めに商品を買ってくれたお客さんがいたので、今回も期待している」と話したが、登録店開拓の効果は薄そうだ。

 市の担当者は、商品券申し込みはがき付きチラシの全戸配布が市の広報誌と同時の先月末になり、「商品券の認知度が低かった」とみて、今後の伸びに望みをかける。応募多数の場合は抽選としていたが、発行冊数に届かなければ2次販売も検討するという。

 県内の主な市の商品券の応募が発行数をおおむね上回る中、さいたま市の不振ぶりは際立つ。各地のプレミアム商品券事情に詳しい「センスクリエイト総合研究所」(東京)の藤原裕之代表はプレミアム率の低さを理由の一つに挙げる。「消費者が商品券でまず着目するのはプレミアム率。国のGo To イートも25%のプレミアムが付く中、低いと魅力は薄れる」と分析する。

 加えて登録店の少なさも指摘する。「小さな都市なら商品券が使える店が身近にあって応援してあげようと考えるが、大都市ほど顔の見える関係が希薄になりがちだ」と指摘する。

 草加市は申し込みが伸び悩んだかつての商品券事業の反省から、今回は委託先の商工団体などが商店をこまめに回って登録店を開拓。市内の6割以上の店で使えるようにした結果、「市民も安心して応募してもらえたと思う」という。

 さいたま市は商品券発行を7月末、議会の審議を経ない専決処分で決め、事後報告による承認を求めた9月の議会では「議会軽視」の声や高額な事務経費をただす意見が相次いだ。応募が伸び悩む現状に、ある市議は「議会の懸念通りの問題が起きた。甘い見積もりは3期目の清水市政の緩みと慢心の表れだ」と批判している。(森治文)

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