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 米大統領選で7日(日本時間8日未明)、民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が激戦州の東部ペンシルベニア州で勝利を確実にし、当選を確実にした。CNNなど、米メディアが報じた。共和党のドナルド・トランプ大統領(74)は「選挙をめぐる不正が起きている」と主張し、選挙をめぐる訴訟も起こしているが、不正の証拠は示しておらず、裁判闘争の勝ち目は見えていない。

 3日から開票が始まった大統領選では、バイデン氏が民主党の地盤のカリフォルニア州やニューヨーク州で、トランプ氏は共和党が強いテキサス州やオハイオ州で勝利を確実にした。選挙を左右する激戦州のうち、トランプ氏はフロリダ州を制したが、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンと東部から中西部に広がる「ラストベルト(さびついた工業地帯)」にある3州でバイデン氏が勝利し、選挙人の過半数を得た。バイデン氏が勝利すれば、副大統領は、女性初となるカマラ・ハリス上院議員(56)が就任する。

 今回の大統領選はトランプ氏の1期目の4年間を問う信任投票の性格が強く、特に新型コロナウイルスへの対応が問われた。トランプ氏は新型コロナの感染状況について「好転している」などとし、バイデン氏が当選すれば経済がさらに失速すると主張。一方、バイデン氏は新型コロナの米国での死者が23万人を超えるなど、世界最悪の状況になっていることを踏まえ、トランプ氏に対し「国を守るという最も基本的な義務を果たし損ねた」と厳しく批判していた。

 人種差別への対応も争点だった。5月にミネソタ州で黒人男性を白人警官が暴行死させる事件が発生し、人種差別に抗議するデモが全米に広がった。トランプ氏は一部が暴徒化したことから批判を繰り返し、「法と秩序」を訴えた。

 バイデン氏は「分断」を生み出したトランプ政治の終焉(しゅうえん)と、米社会の融和を訴えていた。8月の民主党大会では「あまりにも長く米国を暗闇で覆い、多くの怒りと恐怖と分断を生み出した」と、トランプ氏を批判。副大統領候補には、ジャマイカ出身の父親とインド出身の母親の間に生まれたハリス氏を指名し、多様性もアピールした。

 バイデン氏は上院議員を6期36年、副大統領を2期8年務めたベテラン政治家。就任時には78歳と史上最高齢の大統領となる。国際協調主義路線を取るとみられ、トランプ氏が離脱を進めてきた地球温暖化対策のパリ協定やイラン核合意、世界保健機関(WHO)にも復帰する考えを示している。

 バイデン氏は当選確実が報じられた直後に声明を発表し、「米国民が私と、次期副大統領のハリス氏を信頼して頂いたことを謹んで光栄に受け止める」と述べた。バイデン氏はまた、「かつてない困難に直面しながら、記録的な数の米国民が投票し、米国における民主主義の鼓動は再び深く打ち始めた」と語った。そのうえで、「選挙は終わり、今こそ怒りや激しい言葉は忘れ、一つの国民としてまとまるときだ。米国民が団結するときだ。そして傷を癒やすときだ。私たちはアメリカ合衆国だ。もし私たちが一緒になれば、できないことは何もないのだから」と呼びかけた。

 トランプ氏の任期は来年1月20日まで続く。米国で再選を目指した現職大統領が選挙で敗れるのは、1992年のブッシュ氏(父)以来28年ぶりで、10人目となる。

 トランプ氏はバイデン氏の勝利が確実になった直後に声明を発表。「バイデンがなぜ偽の勝利宣言を急ぎ、メディアの友人がこぞって助けようとしたのか、みんな知っている。真実を知られたくないからだ。この選挙はまだ終わりにはほど遠い」と敗北宣言を拒否。不正選挙だったと主張し、「我々の陣営は選挙法令が完全に守られ、正しい勝者が就任するように訴訟を遂行していく」と、法廷闘争を進める考えを強調した。ただ、不正選挙の根拠は示していない。(ワシントン=園田耕司)