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 鹿児島県大隅半島南部の辺塚(へつか)地区で栽培され、幻の柑橘(かんきつ)とも呼ばれる「辺塚だいだい」を使った缶チューハイが完成し、全国での販売が始まった。地元農協も開発に参加したキリンビール(東京)の「キリン氷結(R)ストロング鹿児島産辺塚だいだい」。小さな農村の特産品に光が当たることを関係者は期待している。

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 辺塚地区は肝付町と南大隅町の境界にまたがるように位置し、高齢者を中心に90世帯が暮らす。交通が不便なこともあり、過疎化が進んでいる。

 そこに昔から自生するのが辺塚だいだい。JA鹿児島きもつき(本所・鹿屋市)によると、ダイダイの原種とも言われてきたが、ダイダイより皮が薄く、酸味が少ないのが特徴。温州みかんほどの大きさで、果汁が多くライムのようなさわやかな香りもある。

 地元で焼酎やさしみ用のしょうゆに入れるなどして使われ、市場にはポン酢やドレッシングの原料として流通。だが年間生産量は45戸の農家による約50トンで、県内でも入手が難しい「幻の柑橘」とされてきた。

 それが2017年、地元の特産品を地域ブランドとして保護する農林水産省の「地理的表示(GI)保護制度」に登録された。これをきっかけに、JA鹿児島きもつきがPRに着手。関係があったキリンビールとの間で持ち上がったアイデアが、近年、色んなフルーツを使った商品が発売されている缶チューハイ。辺塚だいだいの果汁を使い、共同開発することになった。

 キリンビールによる試作品の味や香り、パッケージのデザインなどについて、同社の社員とJA鹿児島きもつき、生産者らが一緒になって検討を重ねた。辺塚だいだいの収穫作業はJA職員や同社社員も手伝い、着想から約2年がかりで商品化にこぎつけたという。

 販売は10月6日から全国で始まった。350ミリリットル缶と500ミリリットル缶があり、いずれもオープン価格。350ミリリットル缶換算で570万本分の限定販売という。同社は「ジューシーな果肉感に加え、心地よい酸味としっかりした飲みごたえが感じられる」とPRしており、売れ行きは好調という。

 JA鹿児島きもつきの担当者は「本当に小さな産地だが、全国の人に『辺塚』の名前を覚えてもらうことで地域が活気づけば、とてもうれしい」と話す。(稲野慎)

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