トランプ氏退場 国民が選んだのは命を重んじる大統領

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アメリカ総局長・沢村亙
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【朝日新聞ポッドキャスト】米大統領選⑦ 沢村亙アメリカ総局長

 静かな声が、山を動かした。

 大統領選の終盤を迎えた米国では、現職のトランプ氏を支持する看板が至る所で目についた。トランプ氏も勇ましい選挙集会を重ねていた。だが、米国民の多数が望んだのは見かけの華々しさではなかった。目の前にある課題の解決に取り組んでくれる政権であり、国民の命を重んじる大統領といえた。

沢村亙・アメリカ総局長が米大統領選について語り尽くします。朝日新聞ポッドキャストでお聞き下さい。(日本時間の11月5日午後2時に収録しました)

 激戦州ペンシルベニアで、期日前投票に黙々と並ぶ長い行列からも、そうした声は聞かれた。

 22歳の白人男性は「僕が60歳になったときに、まだ雪山を見ることはできるだろうか。地球を守るためには、いま行動しなければ」と語り、63歳の白人女性は「20万の米国人が新型コロナウイルスで命を落とした現実に目を背ける大統領はいらない」と断じた。「はびこる人種差別が視界に入らないリーダーには、退場してほしい」という、35歳の黒人男性もいた。辛抱強く投票を待つ人々の多くが明かした胸の内は、「バイデン氏を支持する理由」以上に、「なぜトランプ政権を終わらせなければならないか」だった。

 そのトランプ氏も4年前は、「主流派やエリートによる支配にはもう耐えられない」と、既存政治の打破を待望する有権者の期待に乗って初当選した。当時と共通するのは、世界でただ一つの超大国となったはずだった米国が直面する、衰退だ。

 グローバル経済の恩恵を受け…

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