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 プロ野球のドラフト指名を拒否した選手との契約制限を12球団で申し合わせた通称「田沢ルール」について、公正取引委員会は5日、「独占禁止法違反の恐れがあった」との見解を公表した。12球団でつくる「日本プロフェッショナル野球組織」を同法違反の疑いで調べたが、9月にルールが撤廃されたため、違反認定をせずに審査を終えた。日本プロ野球組織が12球団に対し、選手契約を拒絶させていた疑いがあるとみていたという。

 公取委などによると、このルールは、ドラフト会議での指名や交渉権を得た球団への入団を拒否して海外球団と契約した選手について、高校出身は契約終了後3年間、大学・社会人出身は2年間、ドラフト会議で指名しないというものだ。

 2008年秋、新日本石油ENEOS(当時)の田沢純一投手(34)が大リーグ球団への入団を希望してドラフト指名を拒否。これを受け、12球団の代表者が日本プロ野球組織の議決機関である「実行委員会」で人材流出防止策として、このルールを申し合わせていた。

 公取委は、事業者団体であるプロ野球組織が、この申し合わせによって、構成事業者である12球団に対し、独禁法で禁じられている「不公正な取引方法(共同の取引拒絶)」をさせていた疑いがあったとみて調べていた。

 関係者によると、公取委は今夏、田沢投手の帰国後から調査を始め、同野球組織や球団関係者の事情聴取を続けていた。調査中の9月に同野球組織がルールを撤廃。今後も同様の申し合わせを行わないことも公表し、関係団体に周知したことから、公取委は行政処分は不要と判断して審査を終えた。撤廃しなければ違反を認定し、行政処分を出した可能性が高いという。

 田沢投手は09年にボストン・レッドソックスに入団し、ワールドシリーズ制覇に貢献。今年3月にシンシナティ・レッズからマイナー契約を解除され、7月に独立リーグ・BCリーグ埼玉武蔵ヒートベアーズに入った。ルール撤廃により、10月26日にあったドラフト会議の指名対象となったが、指名はなかった。

 同ルールについては、プロ野球選手らでつくる労働組合「日本プロ野球選手会」も「経済活動を著しく制限する。独禁法上明らかに違法だ」と批判。今年8月にも撤廃を要望していた。

 同野球組織は5日、「今後もより良い制度の研究・検討を続けながら、プロ、アマを問わず日本の野球界の発展に尽くしていく」などとするコメントを出した。

 田沢投手はルール撤廃が決まった9月、「(米球界に)後に続く選手、チャレンジしたいという人がルールで行けなくなっている。色々な人に動いてもらってこのルールがなくなった。本当に良かったですし、みなさんに感謝しています」と話していた。(田中恭太)

 プロ野球で長年続いていた「田沢ルール」に、公正取引委員会のメスが入っていたことが判明した。公取委は近年、芸能界やスポーツ界の独占禁止法違反行為にも関心を寄せ、昨年には元SMAPメンバーをめぐってジャニーズ事務所に注意をしていた。背景にあるのは、働き方の多様化とフリーランスの広がりだ。

公取委、スポーツ・芸能界の慣習に警鐘

 公取委は2018年、有識者会議の報告書で、企業から仕事を受ける「個人」も、独禁法が対象とする「事業者」に含まれうると明確化。発注者による競争上不当な扱いは適用対象になるとの見解を示した。フリーで働く人が増えるとともに、人材不足の分野で引き抜き制限が起きたり、立場の強い発注者側からの要求をのまざるを得なかったりする事態を、独禁法で対処するのが狙いだ。

 この見解では、こうした働き方…

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