コメダのカップは有田焼=原知恵子撮影
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 名古屋発祥の喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」でおなじみのコーヒーカップは、九州の有名やきもの産地の職人らが多くを手作業で仕上げている。最近、品質基準を満たせず廃棄の運命にあったカップを「再生」、持続可能性を訴えるサステイナブルのキャンペーンの景品にするなどロス減を進めている。

 47都道府県と海外の850店以上で使われている「コメダおじさん」があしらわれたコーヒーカップ&ソーサー。真っ白で厚みがあり、口当たりの良さや保温性の高さでおなじみだ。ひっくり返すと「有田焼byコメダ」の文字が並ぶ。

 「四半世紀前、創業者の強いこだわりを有田の職人さんが形にしてくださって以来、同じものを作り続けていただいています」(広報担当・伊藤綾子さん)。現在は年間1万個を発注しているという。

 同社によると、かつて使っていた別のカップは「取っ手がとれやすい」という課題があった。創業者は「よりくつろげる空間にするためにも、理想のカップをいちから作りたい」と思案。店のオーナーの一人の紹介で、佐賀・有田焼の商社にたどり着いたという。

 継ぎ目のない「一体成型」のカップなら、取っ手の強度は格段に高まる。でも、手作業が多くコストがかかる――。美しい白さ、飲み口の厚さ、持ちやすさ、独特の曲線はミリ単位までこだわり、職人らは試行錯誤したという。

 客が使うのは4度の検品を通ったものだけ。「品質基準を満たせなかった一例」と示されたカップは、よく見ると内側に1ミリに満たない黒点のようなものが確認できた。伊藤さんは「じゅうぶん使えますが、お客様に出すカップは最高のものでないといけない」と説明する。

 ただ、それも職人が丁寧に情熱を注いで作ったカップだ。産地からは「真っ白な有田焼を作るための土は非常に貴重で、枯渇している」との声も届く。「限りある資源を無駄なく大切にするため、『廃棄』以外の道について社内で検討を重ねました」(伊藤さん)

 2年前に誕生した「ステナイカップ」は、そうしたカップに限定のデザインを施して「再生する」というアイデアだ。イラストをあしらったり、名前を入れたり、色を加えたり。これも有田の職人が手がけている。

 「環境への配慮」を特色とする東京・吉祥寺西口店で使用しているほか、「食品ロス削減」などサステイナブルを訴えるキャンペーンの「景品」として活用。ドリンク注文で押印のスタンプを集めた人にプレゼントしたステナイカップは、第3弾の絵本シリーズ「もったいないばあさん」とのコラボレーションまでに、約1500個になる。(原知恵子)