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 カウンターだけの高級すし店がかもし出す緊張感はどのように生まれるのか。京都府立大和食文化学科の平本毅准教授(経営学・社会学)は、飲食店などの接客での会話やしぐさといった、物ではないサービスが生み出す価値について研究している。「人と人との間で生まれるふんわりしたもので、まだまだ研究が進んでいない分野です」

 手法は徹底した現場の観察だ。一般的に研究は実験を繰り返したり、大勢にアンケートをとったりして得られた複数のデータを統計的な手法で解析する。平均的な結果が導き出されるが、個々の違いはぼやけてしまう。平本さんはこうした研究に実感が湧かず、対象をビデオ撮影し、詳細を徹底的に分析するという欧米で普及している研究手法を取り入れた。

 すし店の研究では、客が入ってから帰るまでの店内の様子を撮影し、状況を書き起こす。会話だけでなく、話し方のトーンや言葉の間の秒数、動作、手指の動き、視線の向きなど、動きのあるもの全てを記述する。

 「1分のやり取りの記述に1時間かかることもある」という細かな解析で、すし店の雰囲気のポイントも見えてきた。

 慣れていない客は大将と向かい合って、どう振る舞って良いかわからない。「暑いから、ビール」などと注文に若干の前置きをしてしまうのは、自信がない行動に正当性を付けるためだ。一方で大将は、緊張を緩める工夫も自然にしている。注文を待つ間や会話の合間に、包丁を拭いたり、布巾を整えたりする。その時に絶対にしなければならない作業でもないが、あえて隙を与えている。大将は作業しながらでも時折、視線を客の方に向けており、話すきっかけをつくっている。「微妙なタイミングでのふるまい一つ一つが、雰囲気や価値を生み出している」。別の店でも同様の状況があり、一定の普遍性もみられるという。

 研究はサービスや売り上げの向…

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