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 卓越した技能を持つ人を表彰する今年度の「現代の名工」が発表された。山口県内からは、鉄道車両の内装の組み立てを手がける山中義行さん(48)=田布施町=と、日本料理人の梶本剛史さん(56)=山口市=の2人が選ばれた。

車両艤装工 山中義行さん(48)

 新幹線車両のドア付近にあるデッキ部に使われる内装パネルユニット製造で、全国有数のシェアを誇る弘木(ひろもく)技研(山口県下松市)。部品を組み立てる最終工程「艤装(ぎそう)」一筋27年で、取り付け技術はもちろん、安全性を高める新工法の確立にも貢献した。

 トイレのほか、配電盤などを収納する電気系統のユニットもその一つ。従来は組み立て時にねじ穴を加工し、「切粉(きりこ)」(粉じん)が残ってショートするおそれがあった。

 ならば部品をつくる段階で全ての加工を終えてしまおうと、10年ほど前に発案し、デジタル管理されている図面をもとに、機械であらかじめ穴を開けておく「切粉レス組立(くみたて)」を会社全体で生み出した。組み立て作業は簡単になり、生産効率も上がった。

 艤装工を志したのは幼少期から鉄道ファンだったから。「(新幹線に乗って)製品を見ると、やってよかったなと思う」

 部品の製造段階で出るひずみの微調整はいまも職人の技量が問われる。

 「自分一人の力ではなく上司や同僚がいたからこそ。今後は意識や技能を次世代に伝えていく」。艤装に関わる約30人の手本であり続ける。(高橋豪)

日本料理調理人 梶本剛史さん(56)

 フグやハモの調理技能や、果物や野菜などに刃を入れて細工を施すカービングなどの包丁技能が評価された。日本料理調理人として37年。大阪出身で、高校卒業後に見習いとして地元の料亭に入った。

 周りは中学卒業後から修業する人が大半。「いつか抜いてやろう」と午前5時から調理場に立ち、人目を盗んで練習した。

 22年前、師匠の勧めで山口に来た。郷土料理「いとこ煮」にアワビや岩国レンコン、はなっこりーなどを加えて会席料理としてメニュー化。関西での経験を生かし、当時山口では浸透していなかったハモの提供も始めた。2007年からは、松田屋ホテルの料理長として地元の食材を使ったメニューを考案している。

 根幹にあるのは「日本料理を次の世代に残していきたい」という思いだ。全国日本調理技能士会連合会の常務理事を務め、県内の学校に出向いてだし巻き卵の作り方を教えるなど、日本料理の文化の伝承にも力を注ぐ。

 盛りつけ一つとっても常に客の顔を想像する。

 「おいしいと言われると最高の気持ち。料理人は一生修業。包丁を置くまでは勉強です」(寺島笑花)

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