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 鬼のメイクをした踊り手が岡山市の夏を彩る「うらじゃ」の中止を受け、市や岡山青年会議所などが開催を決めた代わりのイベントが7日夜、岡山城の天守閣前であった。今夏が最後の予定だった踊り手ら約400人に参加を限定するなど規模を縮小しての開催。力いっぱい踊りきって、うらじゃを「卒業」した。

 夕方から「連」と呼ばれる踊り手らのグループが続々と岡山城に集まってきた。昨年は118連が参加したが、今年は11連に限定。「立冬」のこの日、天守閣前広場には冷たい風が吹き付けたが、鬼をイメージした化粧と自前の衣装に身を包んだ踊り手たちは、威勢のいいかけ声で息の合った演舞を披露していった。

 うらじゃは1994年に始まり、今夏で27回目を迎えるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で初めて中止に。この日のイベントは「卒業」をテーマに、卒業や引っ越しなどで引退する踊り手がいる連に限って参加を募った。無観客で行われ、後日、ユーチューブの「UrajaTV」で動画が公開される。

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 「大勢の人に見てもらえる夏は特別な舞台。だからこそ悔しかった」。踊りを披露した連の一つ「楽鬼(らっき)」代表で、岡山理大3年の伊勢田優志さん(20)は中止が決まった時を振り返る。

 楽鬼(らっき)は県内の大学生ら約100人でつくる歴史ある連で、伊勢田さんは16代目の代表。自身も含め30人ほどが卒業するはずだった今夏に向け、週1回約2時間の練習のほか、振り付けを考えたり、メンバーとの息の合わせ方に悩んだりしてきた。

 中止が決まり、今年の節目にしようと、9月末に岡山武道館でOBらを集めて踊りを披露。県外にいたOBらも駆けつけてくれた。代替イベントの開催が決まったのはその直後のこと。「気持ちの区切りがつかないところがあったから、本当にうれしかった」

 楽鬼の衣装担当の篠本美姫さん(20)=就実大3年=も、今夏が最後の予定だった。半年ほどかけ、空へ羽ばたく真っ白な鶴を衣装の上着にデザインした。派手で目を引く衣装には、楽鬼のモットー「人を楽しませる鬼となれ」の文字をあしらった。「無観客でも、頑張れる場所をもらえてありがたい」

 本番直前。伊勢田さんは「最後だという寂しさもあるが、後輩に背中を見せたい」、篠本さんは「悔いなく笑顔で終わりたい」と話し最後の舞台に向かった。(田辺拓也、華野優気)

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 〈うらじゃ〉 鬼神の異名を持つ吉備国の王・温羅(うら)が、桃太郎のモデルとされる吉備津彦命(きびつひこのみこと)と戦った伝説から着想。毎夏、おかやま桃太郎まつりのメインイベントとして披露される。うらじゃ振興会などによると、地域の夏祭りなどでも親しまれ、岡山の夏の風物詩の一つとなっている。

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