弓長理佳
「停滞していた核軍縮が前進する一歩と期待したい」。米大統領選で民主党のジョー・バイデン氏の当選が確実となったことをうけ、長崎県被爆者手帳友の会の会長、朝長万左男(まさお)さん(77)はそう語った。
バイデン氏は今年8月6日の広島原爆の日、「広島、長崎の恐怖が二度と繰り返されないために、核兵器のない世界に近付くよう取り組む」との声明を出した。「オバマ元大統領が掲げた『核なき世界』の理念を受け継ぐ人が選ばれたことにほっとしている」と、いうのが率直な感慨だ。
オバマ氏が退き、「米国第一」を掲げたトランプ大統領が政権を担った間、米国はロシアとの中距離核戦力全廃条約から離脱、イラン核合意も一方的に破棄。5月には、核実験再開を議論していたと報じられた。
「トランプ氏には『核兵器は使ってもいい』という気持ちがあるのではないか」。2歳で被爆し、医師として長年被爆者を診てきた朝長さんにとっては、受け入れがたいふるまいだった。「トランプ氏に(核軍縮を)任せていたら、とんでもないことになる」と危惧していた。それだけに、バイデン氏の当選確実の報に安堵(あんど)する。
オバマ氏は在任中、実現には至らなかったものの、核兵器の先制不使用政策を検討したとされる。「先制不使用が確立されれば、核兵器の役割はぐんと低くなる。世界的な核廃絶に向けて、ぜひ具体的な取り決めを作ってほしい」と希望を託す。
長崎大核兵器廃絶研究センター…
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