アメリカ総局長・沢村亙
「トランプ」とは、いったい何だったのか。
米国に初めて赴任した27年前。冷戦に勝利した唯一の超大国には自信がみなぎっていた。イスラム過激派のテロが深刻化する前の話である。米国を脅かすものは、なかった。
トランプ氏は高層ビルを手がける不動産王として名をはせていた。経済は右肩上がり。物件を買いあさる日本に対する脅威論も聞かれたが、米国が競う相手は民主的な同盟国だった。
クリントン大統領はオスロ合意に基づく中東和平の推進をはかり、世界はもめごとを収めてくれる米国に期待した。米国民もそれを誇りにしていた。
地方の図書館や教会には地域活動をする住民たちが集い、人々は笑っていた。
3年前、再び米国に赴任した。…
残り:816文字/全文:1125文字
【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
速報・新着ニュース
あわせて読みたい
PR注目情報
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞国際報道部