[PR]

 歯科用の金属製品などを手がける大阪市のメーカー「YAMAKIN(ヤマキン)」が、扱いやすく接着力が高い歯科用接着剤の新商品を売り出している。高知工科大などが開発したナノ粒子の多孔質集合体「MARIMO(マリモ)」を使い、初めて商品化した。

 ヤマキンの工場と研究開発拠点は高知県香南市にあり、「高知発」の技術の連携が新商品を生み出した。

 MARIMOは二酸化チタンやジルコニアなどの金属酸化物を材料にしたナノ粒子(0・1ミクロン以下)の球状集合体で、表面に無数の凹凸があり、表面積が大きい。高知工科大の小広(こびろ)和哉教授の研究チームと研磨剤メーカーの宇治電化学工業(高知市)が2015年に大量合成を実現し、商品化に道を開いた。

 接着剤「KZR―CAD マリモセメントLC」はジルコニアでできたMARIMOを活用した。重度の虫歯治療で使われるプラスチック製のかぶせ物を接着する場合、従来の主流品では2種類の材料を混ぜ合わせる工程が必要だった。だがマリモセメントは混ぜる必要がなく、光を数秒当てるだけで固まり、はみだした余剰の接着剤を取り除くのが簡単。接着力の耐久性も従来品と遜色なかったという。

 MARIMOは無数のナノ粒子が丸い形に集まっているのが特徴で、小広教授は「丸くて同じ形をしていることで、接着剤が均一に広がりやすくなるのではないか」と話し、接着強度に影響を与えているとみる。

 6月に販売を始めた。香南市の工場に隣接する歯科診療所でこの接着剤が使われ、約7カ月経った時点で脱離などの不具合はないという。歯科医院や卸業者から問い合わせがあるといい、サンプルを送ってPRしている。年内にも海外販売する計画で、24年には出荷額1・5億円を目指している。(清野貴幸)

関連ニュース