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 北九州市八幡東区の小劇場「枝光本町商店街アイアンシアター」が、強い殺菌力を持つC紫外線(UVC)の照射ライトをホールに設置した。新型コロナ禍のなか、劇場の除菌能力を高めて、観客や出演者、運営スタッフの安心や負担軽減につなげる狙いがある。

 UVCは太陽光にも含まれるが、オゾン層で吸収されるため地表には届かない。強い殺菌力があり、新型コロナウイルスに一定時間の照射を続けると感染力が99%以上失われたとの研究結果が複数の研究グループから報告されている。

 アイアンシアターが導入したのは、これまでも殺菌に用いられてきた254ナノメートルのUVCを照射するライトだ。多くの劇場の舞台照明を手がける会社「東京舞台照明」がメーカーと共同開発したもので、床面積約160平方メートルのホールをくまなく殺菌できるようにと、角度や取り付け位置を計算したうえでホールの天井に4基を設けた。設置費用は約60万円。

 30分の照射でホール内の殺菌が完了するという。ライトにはタイマーやセンサーが付いており、UVC照射中に人を感知すると自動で止まる。アイアンシアターでは朝方の開場前や、一日の公演が終わって劇場を閉める際に作動させる。今後、照射中のホールに人が誤って立ち入らないよう安全策を考え、公演と公演の合間での活用も検討する。

 これまでは公演が終わるたびに客席や床、小道具などを手作業で殺菌してきた。運営責任者の森田正憲さん(42)は「劇場スタッフへの負担が大きく、拭き漏らしの恐れもあった。ホール内の消毒作業が軽減された分、入り口やトイレなどでの除菌や感染防止策に力を入れたい」と言う。

 国は9月19日に感染防止のための規制を緩和。演劇上演など「大声での歓声、声援等がないことを前提としうる場合」には、劇場を満席にしてよいとした。

 だが、アイアンシアターでは客席数を減らす自主規制を続ける。感染者数がわずかな日が続いていても、感染リスクは変わっていないと考えるからだ。森田さんは「ワクチンの完成などで状況が改善されるまで、出来る限りの安全対策をとり続けたい」と話した。(吉田啓)

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