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 都心の上空を通る羽田空港新ルートの是非を問う住民投票の実施を求める品川区の住民団体「区民投票を成功させる会」が9日、条例制定を直接請求できる有権者の50分の1(6802人)の3倍以上の2万3098筆の署名を、区選挙管理委員会に提出した。

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 10月4日~11月3日に集められた署名を入れた箱が、区役所の会議室に次々と運び込まれた。

 住民投票に向けた条例制定を求める署名集めは、区に届け出た請求代表者か署名集めを担う「受任者」が対面で行う必要がある。同会によると、今回の受任者は1900人を超えた。1月以降、各地で受任者を募る説明会を開いてきたなか、4月に新ルートの本格運用が始まってから申し出が増加したという。「飛行機の騒音や低空飛行を実感できるようになったためだろう」と同会。街頭での署名集めでも、区民から大きな反響があったという。

 請求代表者の一人で東京基督教大学特別教授の稲垣久和さんは「一人一人が新型コロナに負けずに、がんばって署名を集めた。下からの民主主義をいかにつくりあげるかが重要。区民に賛否の声をきく機会をつくってほしい」と語った。

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 今後の焦点は、品川区議会が条例案を成立させるか否かだ。区議会では昨年3月、ルートの再考や固定化を避ける取り組みを国に求める「品川上空を飛行する羽田新飛行ルート計画に関する決議」を全会一致で可決した。だが同会は「区民の声が直接届いていない」として、新ルートへの賛否を区民が表明するために住民投票の実施を求めて活動してきた。

 署名簿は、区選管が署名者の生年月日などをチェック後に縦覧され、有効署名数が確定。その後、条例制定請求代表者が浜野健区長に本請求をする。区長は条例案に賛・否の意見書を付けて、区議会に提案しなければならない。議会で賛成多数で可決されれば、住民投票が実現する。

 住民投票条例制定の直接請求が、議会で否決される事例は少なくない。東日本大震災後、原発再稼働を問う住民投票条例案が都道府県レベルでは東京や茨城など5都県で審議されたが、いずれも否決された。一方で、昨年2月の沖縄県民投票は、必要数を大幅に上回る有効署名9万筆超が集まり、実現した。米軍普天間飛行場の辺野古移設の賛否が問われ、反対が圧倒的多数の結果になった。(伊藤恵里奈)

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