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 今年から日本の各都市で順次サービス展開を進めている、フィンランド発の飲食宅配代行サービス「ウォルト」のマリアンネ・ビックラ副社長(28)が10日、東京都内で朝日新聞のインタビューに応じた。個人事業主として労働法制で保護されない配達員について、「最低報酬」を得られる仕組みなどで待遇重視を図るほか、労働組合の団体交渉を含めて配達員との対話にも応じる考えを示した。

 飲食宅配代行は、ウェブ上で料理などを注文すると配達員が飲食店などから自転車やバイクで届けてくれるサービスで、日本ではウーバーイーツなどが先行している。配達員は好きな時に働ける一方、サービスを提供する企業と一般に雇用関係になく、報酬の最低保証もない場合がほとんどだ。最近は、コロナ禍で失職するなどした働き手が増え、配達依頼をあまり受けられず、稼げない例も増えているという。

 ウォルトでは、事前に稼働時間を登録すれば、実際に配達が発生しなくても、東京の場合で最低賃金を上回る平日1時間1150円が支給されるという。ただ、その間は稼働は自由にやめられない。「柔軟さが減るため、誰もが望んでいるわけではない。だが、自由を超え、セーフティーネットを確かなものとする。だから傷害補償制度も始めた」とビックラ氏は話した。「私たちは、展開するすべての市場で、配達員のセーフティーネットを高め続けることを目指している」という。

 人口密度が低くて雪深いフィンランドでも効率よく配達できるよう、天候や交通状況を予測する独自のアルゴリズムも開発して、配達時間の短縮につなげているという。「収益を上げ、配達員も(効率よく稼いで)フェアとなるため」とした。

 日本進出に先立って、今年2月に幹部が来日し、労働組合「ウーバーイーツユニオン」を訪ねて、ウーバーの配達員の状況に耳を傾けたという。「配達員は複数の企業を掛け持ちしているし、私たちもそれを支援している。対面で会い、配達員に最良の経験をもたらすよう注力している」とビックラ氏。同ユニオンはウーバーイーツ日本法人に団体交渉を求めて拒否されているが、ビックラ氏は「私たちはあらゆる立場の配達員との対話や議論を受け入れる」と語った。

 ウォルトは2014年にヘルシンキで創業し、北欧など23カ国でサービスを展開する。日本では今年3月の広島を皮切りに札幌、仙台、東京に進出しており、今後2年間で国内100都市へと広げる計画だ。

 ビックラ氏は、フィンランドで毎年開かれる世界最大級の起業支援イベント「スラッシュ」の元最高経営責任者(CEO)。スラッシュは日本版も開催されている。(藤えりか