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 日本銀行は10日、経営効率の改善や統合に取り組む地域金融機関に対し、資金を出す新制度を始めると発表した。2022年度までの3年間、地方銀行などが日銀に預ける当座預金の利子として渡す。改革を進める地銀などへの事実上の補助金とも言え、地銀再編に意欲的な菅義偉政権と足並みをそろえる対応だ。

 日銀は新制度のねらいを「地域金融強化」と掲げ、地方銀行と信用金庫を対象とする。22年度までに、本業の利益(業務粗利益)に対する経費比率を一定以上改善するか、経営統合などを決めることが条件になる。地銀などは日銀に預ける当座預金額の0・1%を、最大3年間利子として受け取れる。仮に全地銀・信金に払うと仮定して利息を試算すると、総額で年400億~500億円規模となる。

 地方銀行などは、人口減などの構造要因▽低金利環境の継続▽新型コロナウイルスの影響などで経営環境が厳しさを増している、と日銀は指摘。3年間の時限措置として、早期に経営強化を促す必要があると判断した。対象となる金融機関は改善状況などを定期的に報告してチェックを受ける。高口博英・金融機構局長は10日、「地域経済を支え、金融仲介機能を発揮するために、地域金融機関の経営基盤強化が重要だという認識は日銀も政府も同様だ」と電話会見で述べた。

 日銀が16年に始めたマイナス金利政策が地銀などの収益を悪化させており、その副作用を無視できなくなったとの見方もある。野村総研の木内登英氏は「日銀は銀行経営の安定を犠牲にして金融緩和を進めてきたが、コロナ禍でその重要性を再認識したのではないか。日銀は大規模緩和の修正とは説明しないが、実際には緩和の副作用に対応する政策だといえる」とみる。(渡辺淳基